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家電と電気代の知識

エコキュートとガス給湯器、どちらが安い?

4人家族の年間ランニングコストと10年総コストを徹底比較

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※本記事は2026年5月時点の情報です。電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(2022年7月22日改定値)、エコキュートは深夜電力(オール電化プラン)契約で運転する標準条件で試算しています。実際のコストはお住まいの地域・契約プラン・家族の使用パターンで変動します。

「電気で湯を沸かすと高いんじゃない?」「エコキュートは初期費用が高くて元が取れるか不安」――給湯機器の選び方で多くの方が直感的にガス給湯器を選びがちです。

しかし結論は意外と一筋縄ではいきません。現在使っている燃料(都市ガス/LPガス/灯油)と評価期間(5年/10年/15年)で安いほうが入れ替わります。本記事では「ランニングコスト・初期費用・ヒートポンプの原理・燃料別損益分岐」の4軸で公的データを引用しながら徹底比較します。

日本の給湯機器シェアと給湯エネルギーの位置づけ

環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和3年度)」によると、住宅で使われている給湯機器のシェアは以下のとおり。給湯エネルギーは家庭の総エネルギー消費の約28%を占め、動力・照明(約34%)に次ぐ第2位の用途です(資源エネルギー庁エネルギー白書)。給湯機器の選択は家庭エネルギーの3割弱を左右します。

給湯機器全国シェア備考
ガス給湯器(瞬間湯沸器・エコジョーズ含む)64.9%都市ガス・LPガス両方を含む
エコキュート(ヒートポンプ式)16.8%新築戸建では約40%まで上昇
灯油給湯器7.6%北海道・東北で多い
電気温水器(旧型・ヒートポンプなし)7.6%深夜電力で湯を沸かして貯湯

※環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和3年度)」より。集合住宅と戸建で偏りがあり、戸建てではエコキュート約28%、集合住宅では約3%。

結論:4人家族の年間ランニングコスト早見表

給湯方式年間ランニングコストエコキュートとの差額
エコキュート(深夜電力)約20,000〜25,000円
エコジョーズ(都市ガス)約50,000〜60,000円+約30,000〜40,000円
旧型ガス給湯器(LPガス)約80,000〜100,000円+約60,000〜80,000円
旧型電気温水器(深夜)約70,000〜80,000円+約50,000〜60,000円

※4人家族の年間給湯熱量 約3,000kWh相当(環境省 家庭部門CO2排出実態統計の給湯エネルギー28%・熱量換算値)を前提に、各方式の熱効率・燃料単価で算出。エコキュートは深夜電力契約・JIS年間給湯保温効率3.5の標準ケース。都市ガス205円/m³・LPガス665円/m³・深夜電力25円/kWhで試算(2026年5月時点)。実際の値は地域・契約・使用量で変動します。

LPガス家庭は年6〜8万円、旧型電気温水器を使っている家庭は年5〜6万円下げられる試算です。都市ガス+エコジョーズ家庭は年3〜4万円の差で、初期費用差(後述)を考慮すると判断が分かれます。

「電気は高い」という直感が当てはまらない理由
旧型電気温水器(投入電気=熱量、熱効率100%)は深夜電力で年7〜8万円かかりますが、エコキュートはヒートポンプで大気熱を集めて熱量を増幅するため、約3,000kWh相当の給湯熱量を約900kWh前後の電気で賄えます(JIS年間給湯保温効率3.5想定)。「電気=高い」のは正しいが、「ヒートポンプは大気熱を集めて熱量を増やす機構」という点が直感に反する勝因です。

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ヒートポンプの原理:なぜ電気1で熱量3〜4が得られるのか

① ヒートポンプは「熱を作る」のではなく「集めて運ぶ」

ヒートポンプは、エアコンと同じ冷媒(CO2・フロン代替等)の圧縮・膨張サイクルで、大気中の熱(外気から得られる熱エネルギー)を集めて水に伝える機構です。電気エネルギーは冷媒を圧縮するコンプレッサーを動かすために使われ、それ自体は熱に変換されません。

JIS C 9220:2018標準条件下では、投入電気1に対し熱量3〜4の出力(実使用は外気温でCOP 2〜5の範囲で変動)。これが「JIS年間給湯保温効率3.0〜4.2」の正体です。本記事の以降の試算はこのJIS年間値3.5を基準とします。

② JIS年間給湯保温効率(JIS年間値)とは

JIS C 9220:2018「家庭用ヒートポンプ給湯機 - 試験方法」で規定された測定法に基づき、東京・大阪の標準気象データと標準使用パターン(4人家族・標準入浴量)で算出される年間効率値です。最新機種では3.0〜4.2が主流で、メーカーカタログに「JIS年間給湯保温効率 3.5」等として明記されています。

③ 実使用での注意点

JIS値は標準条件下の値で、実使用では外気温・使用量・季節で大きく変動します。寒冷地(外気温5℃以下)では効率(COP)が標準時の6〜8割程度に低下し、北海道など冬季の長い地域では寒冷地仕様(暖房能力強化型)でも電気代がやや高くなる傾向があります。逆に夏季の外気温30℃前後では効率(COP)が4〜5まで上がることもあります。

ガス給湯器の熱効率について
潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)は排気熱を再回収する機構で、JIS S 2109(家庭用ガス温水機器の効率測定方法)に基づく熱効率が約95%。従来型ガス給湯器は約80%で、エコジョーズ移行で約15%の燃料削減が見込めます。ただし前述のヒートポンプ効率とは原理が異なり、絶対値での比較ではエコキュートが上回ります。

燃料別シーン別:どちらを選ぶべきか

🔥現在LPガス契約で給湯コストが高いエコキュート推奨

LPガスは都市ガスの2〜3倍の単価で、4人家族で年8〜10万円かかる試算。エコキュート(年2〜2.5万円)に切り替えると年6〜8万円下がり、初期費用差(30〜45万円)も5〜6年で回収できる計算。

🛢️現在灯油給湯器で寒冷地以外エコキュート推奨

灯油は原油価格・為替で大きく変動するため5年単位で見通しが立てづらく、エコキュート(深夜電力)のほうが家計の予測可能性が高い。寒冷地以外なら効率低下の影響も限定的。

🏠現在都市ガス+エコジョーズ、10年以内に引越予定現状維持(エコジョーズ更新)推奨

年間差額3〜4万円に対して初期費用差15〜45万円。10年で回収できないケースが多く、家を売却・引越する予定があるなら初期投資の回収機会を逃すリスクが高い。

🏡現在都市ガス、戸建て新築/リフォーム+15年以上居住エコキュート検討の価値あり

15年単位で見ればエコキュート(年2〜2.5万円)と都市ガス(年5〜6万円)の差額が累積し、エコキュート1台分(40〜60万円)とガス給湯器2台分の買い替え(30〜50万円)を含めた総コストで逆転する可能性。

🧊現在旧型電気温水器を使っているエコキュート推奨

旧型電気温水器は熱効率100%(投入電気=熱量)で年7〜8万円かかるが、エコキュート(同条件で年2万円前後)に切り替えると年5〜6万円下げられる。深夜電力契約はそのまま流用可能なケースが多い。

🏔️北海道・東北の寒冷地で外気温-10℃以下慎重に試算を

寒冷地では年間給湯保温効率が標準地域より2〜3割下がり、灯油給湯器と拮抗するケースも。寒冷地仕様エコキュート(凍結対策・暖房能力強化型)を選び、地域の電力会社の寒冷地向け電気プランで個別試算が必要。

5年/10年/15年の総コスト試算(初期費用込み)

初期費用差を考慮した期間別総コスト試算は以下のとおり。エコキュート40〜60万円・エコジョーズ15〜25万円・旧型ガス給湯器(LPガス)15〜20万円を前提とした概算です。

都市ガスエリア(4人家族)の総コスト比較

評価期間エコキュートエコジョーズ(都市ガス)差額(エコキュート−エコジョーズ)
5年合計約61万円約48万円+約13万円
10年合計約72万円約75万円−約3万円
15年合計約83万円約123万円(更新含む)−約40万円

※エコキュート初期費用50万円・エコジョーズ20万円で計算。エコジョーズは10〜15年で買い替えが必要なため15年時点で更新費用を加算。

LPガスエリア(4人家族)の総コスト比較

評価期間エコキュートLPガス給湯器差額(エコキュート−LPガス)
5年合計約61万円約63万円−約2万円
10年合計約72万円約108万円−約36万円
15年合計約83万円約171万円(更新含む)−約88万円

※エコキュート初期費用50万円・LPガス給湯器初期費用18万円で計算。LPガス給湯器は10〜15年で買い替えが必要なため15年時点で更新費用を加算。LPガス単価665円/m³(2026年5月時点・全国平均)で試算。

都市ガス家庭は10年でほぼ拮抗し、15年で大きく逆転します。LPガス家庭は5年時点で既にエコキュートが安く、15年では80万円超の差に。「初期費用が高いから損」という直感は、燃料種別と評価期間で答えが大きく変わります。

試算の前提と免責
上記は4人家族・年間給湯熱量 約3,000kWh相当(環境省 家庭部門CO2排出実態統計の給湯エネルギーシェアからの熱量換算値)・電力量単価31円/kWh(深夜は約7〜8割)・都市ガス205円/m³・LPガス665円/m³(2026年5月時点・全国平均水準)を前提とした概算です。実際は地域の燃料単価・電力プラン・お風呂の使用頻度・家族人数・寒冷地仕様で大きく変動します。判断前に必ず複数業者の見積りと電気プランのシミュレーションを取得してください。

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エコキュート選びの4つのチェックポイント

1

タンク容量(370L / 460L / 550L)

2〜3人世帯は370L、4人世帯は460L、5人以上は550Lが目安。容量が大きいほど本体価格が上がるが、湯切れリスクが減る。標準は460Lで、4人家族の入浴+調理用湯を1日分賄える容量。

2

JIS年間給湯保温効率(3.0〜4.2)

最新機種ほど効率が高く、4.0以上はプレミアム機種(年間電気代を1〜2割さらに削減できる可能性)。3.0台でも従来型ガス給湯器より効率が大きく上回るため、予算とのバランスで選ぶ。

3

寒冷地仕様の必要性

北海道・東北・長野・新潟など外気温-10℃以下になる地域は寒冷地仕様(凍結防止ヒーター・暖房能力強化型)が必須。本体価格が標準モデルより5〜10万円高くなるが、湯切れ・故障リスクを抑えられる。

4

設置スペース(屋外タンク+ヒートポンプ)

本体(縦長タンク・幅約650mm)とヒートポンプユニット(エアコン室外機サイズ)の2台を屋外に設置する必要あり。設置スペースが取れないマンション・狭小住宅では導入できないケースも。事前に施工業者の現地調査を。

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オール電化向け電気プランの選び方

エコキュートは深夜時間帯(23時〜翌7時頃)に貯湯運転を集中させるため、深夜単価が安いオール電化向けプランの契約が前提条件になります。各旧一電のオール電化プラン(東京電力「スマートライフ」・関西電力「はぴeタイムR」等)では深夜単価(約22〜28円/kWh)が日中の約7〜8割に設定されています(旧プランでは15〜18円の例もあり)。

新電力のオール電化プランも候補に

旧一電のオール電化プランだけでなく、新電力各社もオール電化向けの時間帯別プランを提供しています。深夜単価の安さ・日中単価のバランス・基本料金で年1〜2万円の差が出ることがあります。エコキュート設置を機にプラン全体を見直すと、給湯コスト削減+プラン切替の2段階で家計改善が可能です。

注意点

  • 日中の電力量単価は通常プランより高め: 在宅勤務・乳幼児育児等で日中の電力使用が多い世帯は逆に総額が上がる可能性あり
  • オール電化割引の有無: 旧一電のオール電化プランには契約条件として「IHコンロ+エコキュート等の全電化機器を導入していること」が含まれるケースがあり、ガスコンロ併用世帯は適用外になる場合あり
  • 燃料費調整・再エネ賦課金は別途加算: 表示単価には燃料費調整単価が含まれないため、燃料価格変動の影響を試算時に考慮

よくある質問

エコキュートとガス給湯器、結局どちらが安いですか?

現在の燃料で結論が変わります。LPガス契約家庭(4人家族)は年8〜10万円かかるため、エコキュート(年2〜2.5万円)に切り替えると年6〜8万円下がります。灯油給湯家庭も同水準のコスト差が出やすい一方、都市ガス+エコジョーズ家庭は年5〜6万円で、エコキュート(年2〜2.5万円)との差額は年3〜4万円程度。初期費用差(エコキュート40〜60万円 vs エコジョーズ15〜25万円=差額15〜45万円)が大きいため、10年総コストでは都市ガス家庭はエコジョーズ更新のほうが安くなるケースが多くなります。

エコキュートはなぜ電気で湯を沸かすのに安いのですか?

ヒートポンプ技術で大気中の熱を集めて湯を沸かすためです。JIS C 9220:2018標準条件下では、投入電気1に対し熱量3〜4の出力(実使用は外気温でCOP 2〜5の範囲で変動)。JIS年間給湯保温効率はメーカー公表値で3.0〜4.2が主流です。さらに深夜電力(深夜23時〜翌7時の単価が日中の約7〜8割)で湯を沸かして貯湯する仕組みのため、ランニングコストが下がります。ただしJIS値は平均気温・標準使用パターン下の値で、実使用は外気温・使用量・季節で変動します。

エコキュートとエコジョーズはどう違いますか?

エコキュートは電気とヒートポンプで湯を沸かして貯める方式(タンク式)、エコジョーズはガスを使い潜熱回収機構で熱効率を高めた瞬間湯沸器です。エコジョーズの熱効率は約95%(従来型ガス給湯器は約80%)で、ガス機器としては最高水準。一方エコキュートはヒートポンプの効率により電気1に対し熱量3〜4を生むため(前述JIS標準条件)、エネルギー効率の絶対値はエコキュートのほうが上回ります。ただし初期費用はエコキュート40〜60万円・エコジョーズ15〜25万円と差が大きく、ランニングコスト差と初期費用差のバランスで判断する必要があります。

都市ガス家庭が今ガス給湯器を使っているなら、エコキュートに変えるべきですか?

10年単位で見るなら現状維持(エコジョーズ更新)のほうが総コストで安くなるケースが多く、15年以上同じ家に住む予定があればエコキュートへの切替で長期的に得になる可能性があります。都市ガス家庭の年間給湯コストはエコジョーズで約5〜6万円・エコキュートで約2〜2.5万円。年間差額3〜4万円に対して初期費用差は15〜45万円のため、回収期間は概ね5〜12年。設置スペース(屋外にタンク+ヒートポンプ)・施工費・既存配管の状況も含めた個別判断が必要です。

オール電化向けの電気プランに切り替えるとどれくらい安くなりますか?

オール電化向けプラン(東京電力『スマートライフ』、関西電力『はぴeタイムR』等)は深夜時間帯(23時〜翌7時頃)の電力量単価が日中の約7〜8割に設定されており、エコキュートの貯湯運転を深夜に集中させることで年間給湯コストを2〜3割下げられる可能性があります。ただし日中の電力量単価は通常プランより高めに設定されているため、日中在宅でエアコン・調理家電を多用する世帯は逆に総額が上がるケースもあります。家全体の使用パターンを試算してから判断するのが安全です。

エコキュートの寿命と買い替えコストはどれくらいですか?

エコキュート本体の寿命は一般に10〜15年、貯湯タンクは15年程度が目安です。本体価格(工事費込み)は40〜60万円が中心で、撤去・新設費用を含めた買い替えコストは35〜55万円程度。一方ガス給湯器(エコジョーズ含む)の寿命は10〜15年で買い替えコストは15〜25万円。15年単位で見ると本体買い替え費用も総コストに加える必要があり、エコキュート1台分(40〜60万円)とガス給湯器2台分(30〜50万円)の比較になるケースもあります。

出典・参考情報

✓ この記事の検証プロセス

  • 電力会社の公式約款・料金表PDFを一次情報として参照 (二次情報は使用しません)
  • 49社・370プラン をDBに構造化済。単価・燃調・解約金等を計算エンジンで再現
  • 1社1ファイルの「ファクトカード」でデータベース値・公式値・記事値の3点突合を実施
  • 記事公開前に料金・約款条件のハードコード値を機械的に検査(自動lint)して数値乖離を防止
  • 検証手順の詳細は 計算ロジック / 執筆チーム で公開
最終更新: 2026年5月27日

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