※本記事は2026年5月時点の情報です。電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(2022年7月22日改定値)で試算しています。消費電力の数値はJEMA(日本電機工業会)の方式説明および主要メーカー(複数社)の方式別仕様レンジに基づきます。
「冬は加湿、夏は除湿」――どちらも空気の湿度を調整する家電として、なんとなく同じ水準の電気代だと思われがちです。しかし結論は意外なものでした。試算条件下では省エネ方式同士で比較すると、除湿機の方が加湿器より月電気代が約20倍高くなる傾向です(気化式 月50-150円 vs コンプレッサー式 月1,100-3,000円)。
本記事では「加湿器4方式・除湿機3方式の1時間/月/年コスト・原理・季節別の使い分け・冬の結露時の併用パターン」 の6軸で公的データを引用しながら徹底比較します。
結論:加湿器 vs 除湿機の電気代差
※加湿器は気化式(最も省エネ)とスチーム式(最も電気を使う)、除湿機はコンプレッサー式(夏向き)とデシカント式(冬向き)の代表値。1日8時間×30日、31円/kWh換算。実際の使用環境・機種・運転モードで変動します。
ポイントは 除湿機の最も省エネな方式(コンプレッサー式)でも、加湿器の最も省エネな方式(気化式)の約20倍 の電気代になること。これに加えて、梅雨の連続稼働(1日12-24時間)が重なると、月の電気代差はさらに広がります。
加湿器4方式の電気代:1時間・月・年
JEMA(日本電機工業会)は加湿器を「気化式・超音波式・ハイブリッド式(温風気化式)・スチーム式(加熱式)」 の4方式に区分しています。消費電力と加湿能力に大きな差があります。
※消費電力は強運転〜中運転の代表レンジ。機種・運転モード・タンク容量で変動します。1時間 = 消費電力(kW)×31円/kWh で算出。
気化式とスチーム式では 月電気代に約25倍の差(気化式 約50-150円 vs スチーム式 約1,500-3,800円)。乾燥期(12-3月の4ヶ月)を1日8時間使った場合の年累計で見ると、気化式は 約200-600円、スチーム式は 約6,000-15,000円 となり、加湿能力と電気代のトレードオフが明確に出ます。
除湿機3方式の電気代:1時間・月・年
除湿機は「コンプレッサー式・デシカント式・ハイブリッド式」 の3方式があります。動作原理が異なるため、適季と消費電力に大きな差があります。
※消費電力は強運転〜中運転の代表レンジ。除湿能力(L/日)・タンク容量で機種ごとに差があります。
梅雨・夏(6-9月の4ヶ月)を1日8時間使った場合の年累計で見ると、コンプレッサー式は 約4,400-12,000円。加湿器気化式の年累計(約200-600円)と比べると 約20倍 の差です(min同士: 200円 vs 4,400円 = 22倍、max同士: 600円 vs 12,000円 = 20倍)。
梅雨は外気湿度が80-90%に達することがあり、除湿機の稼働時間が「日中8時間」 では収まらず、1日12-24時間連続運転になる家庭も多いです。コンプレッサー式を1日12時間×30日で使うと月1,674-4,464円、デシカント式同条件なら月3,348-7,812円。24時間運転に近づくと月5,000-10,000円超のケースもありえます。
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サッと料金を比較する加湿器4方式の原理と特徴(JEMA定義)
① 気化式:水を含んだフィルターに送風
水を含んだフィルターにファンで送風し、自然蒸発で水蒸気を生み出す仕組みです。消費電力5-20Wと最も省エネで、雑菌が空気中に放出されにくいのが利点。加湿能力は中程度で、室温が低いと加湿しにくくなります。
② 超音波式:振動で水を細かい霧に
超音波振動で水を微細な霧にして空気中に放出します。消費電力は20-50Wと省エネで、本体が小型・安価。一方、タンクの水を直接霧化するため、雑菌・ミネラル成分も一緒に放出されるリスクがあり、定期的なタンク洗浄・水の入れ替えが必須です。
③ ハイブリッド式(温風気化):ヒーターで温めた風で気化
気化式の弱点(室温が低いと加湿しにくい)を補うため、ヒーターで温めた風をフィルターに送る方式。加湿能力が高く即効性もありますが、消費電力は100-300Wに上昇。月電気代は800-2,200円が目安です。
④ スチーム式(加熱):水を沸かして水蒸気を放出
水をヒーターで沸かして水蒸気を直接放出します。沸騰させるため雑菌の懸念は最も少なく、加湿能力も最大。一方、消費電力は200-500Wと加湿器の中で最大で、月電気代は1,500-3,800円に達することも。吹出口が高温になるため、乳幼児・ペットの火傷リスクに注意が必要です。
日本電機工業会(JEMA)の加湿器ページでは、上記4方式が「気化式」「超音波式」「ハイブリッド式(温風気化式・加熱超音波式)」「スチーム式(加熱式)」 として分類されています。主要メーカー(複数社)の製品仕様もこの区分に準拠しています。
除湿機3方式の原理と季節適性
① コンプレッサー式:エアコンと同じ仕組み(夏・梅雨向き)
エアコンと同じく冷媒(フロン)を圧縮して空気を冷やし、結露させて水分を取り除く仕組みです。気温が高いほど効率がよく、夏・梅雨に最適。消費電力150-400Wで、除湿機の中では最も省エネです。一方、気温が15-18℃以下になると除湿能力が低下するため(出典: JIS C 9617 家庭用除湿機の試験方法における試験条件)、冬の結露対策には向きません。
② デシカント式:乾燥剤+ヒーターで吸湿(冬・通年向き)
ゼオライト等の乾燥剤に水分を吸わせ、ヒーターで乾燥剤を再生する方式です。気温に依存せず、冬の低温環境でも除湿能力が落ちにくいのが特徴。寒冷地の結露対策・通年使用向きですが、ヒーターを使うため消費電力300-700Wと除湿機の中で最大。月電気代も最も高くなります。
③ ハイブリッド式:両方式を季節で切り替え
夏はコンプレッサー、冬はデシカントを自動で切り替える方式です。消費電力250-500Wで両方式の中間。通年で安定した除湿能力を発揮しますが、本体価格は4-8万円台と最も高くなります。一年中除湿機を使う家庭(地下室・北側の部屋など湿気が抜けにくい環境)に向きます。
既にエアコンを冷房で稼働させている部屋では、追加で除湿機を回すよりもエアコンの除湿(ドライ)モードを使う方が追加コストを抑えられるケースがあります(出典: 資源エネルギー庁 省エネポータル「家庭の省エネ」)。エアコンの除湿効率は機種・運転モード(再熱除湿か弱冷房除湿か)で大きく変わるため、「除湿機 vs エアコン除湿」 の使い分けは、部屋の広さ・外気湿度・稼働状況で判断するのが現実的です。
シーン別:どちらをどの方式で使うべきか早見表
湿度50-60%を目安に、まずは省エネな気化式から検討。広いリビングで加湿力が足りない場合はハイブリッド式に切替。スチーム式は雑菌懸念が少ない反面、電気代と火傷リスクが高い。
気温が高い梅雨はコンプレッサー式が最も効率的。洗濯物に直接サーキュレーターを当てると乾燥時間を半減でき、除湿機の連続稼働時間を短縮できる。
10畳以上の広い部屋では、エアコン除湿(ドライ)が除湿機より効率的なケースが多い。除湿機は脱衣所・玄関など局所的に湿気がたまる場所で使う。
気温が低くてもデシカント式は除湿能力が落ちない。結露しやすい窓際・北側の部屋に置き、結露水を回収。加湿器を絞り気味にする運用と組み合わせる。
夏はコンプレッサー、冬はデシカントを自動切替する方式。本体4-8万円と高めだが、一年中除湿機を使う環境では電気代・除湿効率のバランスが取りやすい。
就寝時は静音性重視。気化式は送風音のみで静か。除湿機なら寝室向け静音モード搭載機種を選ぶ。スチーム式・ヒーター式は動作音と熱で就寝時は不向き。
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サッと料金を比較する加湿器と除湿機の同時使用が必要な場面
「冬は加湿・夏は除湿」 が基本ですが、冬でも加湿と除湿の両方が必要になる場面があります。代表的なのが「断熱性能の低い住宅での冬の結露問題」 です。
冬の結露問題:湿度を上げると窓ガラスが結露する
室温18-22℃で湿度50-60%が快適とされますが、断熱性能が低い住宅(築年数の古い木造・北向きマンション・単層ガラス窓など)では、湿度50%でも窓ガラスや壁の冷たい面で水蒸気が結露してしまいます。結露を放置するとカーテン・壁紙のカビにつながります。
解決策:加湿器を絞りつつ窓際にデシカント式除湿機
この場合の現実解は以下の組み合わせです:
- 加湿器は 気化式 or ハイブリッド式を弱運転(湿度50%前後を狙う)
- 窓際・北側の冷えた壁面付近に デシカント式除湿機を設置(結露水を回収)
- 湿度計を1台用意し、湿度40%以下なら加湿、60%以上なら除湿、と運用
- 根本対策として 断熱シート・複層ガラス化 も検討
一般的に、人の体感とウイルス・カビ・ダニの活動を考慮すると、湿度40-60%が快適ゾーンとされます。湿度40%以下ではインフルエンザウイルスの活動が活発化、湿度60%以上ではカビ・ダニが繁殖しやすくなるとされています。冬は乾燥しすぎ、梅雨は湿りすぎになりがちなので、湿度計を1台用意して定量管理するのが基本です。
加湿器・除湿機選びのポイント:失敗しない4つの軸
部屋の広さに合った適応畳数を選ぶ
加湿器は「○畳まで」 の適応畳数表記を確認(木造和室・プレハブ洋室で異なる)。除湿機は除湿能力(L/日)で選ぶ。10畳のリビングなら除湿能力5-7L/日が目安。広い部屋に小型機種を使うと連続フル運転になり電気代がかさむ。
使う季節と方式の相性
冬の乾燥対策なら加湿器気化式・ハイブリッド式。夏の梅雨除湿ならコンプレッサー式。冬の結露対策ならデシカント式。一年中使うならハイブリッド式除湿機。季節と方式の組み合わせが電気代を左右する最大要素。
衛生・安全リスクの確認
超音波式加湿器はタンク雑菌の放出リスクがあり、定期的な洗浄が必須。スチーム式は吹出口が高温になり乳幼児・ペットの火傷リスク。除湿機はタンクの水を毎日捨てる手間。家族構成と相談して選ぶ。
運転音と設置場所
寝室で使うなら40dB以下が目安(図書館の静けさレベル)。スチーム式加湿器・ヒーター式除湿機は動作音と熱で就寝時は不向き。気化式加湿器・コンプレッサー式除湿機の静音モード搭載機種を選ぶ。
電気プラン視点:除湿機を毎日使う世帯は切替効果が出やすい
加湿器単体は月数百円程度のためプラン切替の効果は限定的ですが、除湿機を梅雨・冬に連続稼働する世帯はプラン切替の効果が出やすい家電です。
効果が出やすいパターン
- 梅雨に毎日部屋干し+除湿機: 月の使用量が300kWh超になりやすく、3段階目単価が安い新電力プランで年1万円程度の差
- 北側マンション・地下室で通年除湿機稼働: ハイブリッド式を24時間運転すると月3,000-5,000円。基本料金0円型 or 単価一律型プランで節約余地
- 冬は加湿器+暖房+結露対策の除湿機: 暖房との合計使用量が月500kWh超に達することも。時間帯別プランの夜間料金活用で節約余地
- オール電化世帯で浴室乾燥・部屋干しが多い: 専用オール電化プラン+深夜の除湿機運転で更に大きな差
一方、月200kWh以下の単身世帯は、プラン切替の差額が小さくなる傾向があります。請求書で月の使用量を把握することが第一歩です。
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よくある質問
加湿器と除湿機、電気代はどちらが高くなりますか?
方式によって大きく変わりますが、試算条件下で省エネ方式同士を比べると除湿機の方が高くなる傾向です。最も省エネな加湿器気化式は月50-150円(1日8時間×30日)に収まる一方、除湿機コンプレッサー式は月1,100-3,000円とおおむね約20倍の差。デシカント式は月2,200-5,200円とさらに高くなります。一方で加湿器スチーム式(月1,500-3,800円)と除湿機コンプレッサー式(月1,100-3,000円)では加湿器の方が高くなるケースもあるため、方式の組み合わせ次第で大小関係は変わります。これは除湿機が「圧縮機を回す」「ヒーターで温める」 など消費電力の大きい仕組みを使い、かつ梅雨など連続稼働しやすいためです。電力量料金単価31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)で試算しています。
加湿器の4方式(気化/超音波/ハイブリッド/スチーム)はどう違いますか?
JEMA(日本電機工業会)の区分で4方式に分かれます。気化式は水を含んだフィルターに送風するだけなので消費電力5-20W・月50-150円と最も省エネですが加湿能力は中程度。超音波式は20-50W・月150-400円と省エネな一方、タンク内の雑菌が空気中に放出される懸念があります。ハイブリッド式(100-300W・月800-2,200円)は気化+加熱で加湿能力が高く、スチーム式(200-500W・月1,500-3,800円)はヒーターで沸かすため雑菌懸念が少なく加湿力も高いですが電気代と火傷リスクが最も大きくなります。
除湿機の3方式(コンプレッサー/デシカント/ハイブリッド)はどう選びますか?
適季と消費電力で選びます。コンプレッサー式(150-400W・月1,100-3,000円)は気温が高いほど効率がよく、夏・梅雨向きで最も省エネ。デシカント式(300-700W・月2,200-5,200円)はヒーター乾燥剤を使うため気温に依存せず冬や通年向きですが電気代は最大。ハイブリッド式(250-500W・月1,800-3,700円)は両方を季節で切り替える方式で通年で安定しますが本体価格が4-8万円台と高めです。一人暮らしの夏・梅雨ならコンプレッサー式、寒冷地で冬の結露対策ならデシカント式が現実解です。
梅雨の部屋干しで除湿機を連続稼働すると月いくらかかりますか?
1日12時間×30日、コンプレッサー式(150-400W)を強運転で使うと、月1,674-4,464円(31円/kWh換算)が目安です。デシカント式(300-700W)同条件なら月3,348-7,812円、24時間運転になれば月5,000-10,000円超もありえます。梅雨は外気湿度が高く除湿機の稼働時間が伸びるため、エアコンの除湿機能との使い分け(エアコンの方が大空間では効率がよい場合がある)や、洗濯物に直接サーキュレーターを当てて乾燥時間を縮める併用が電気代節約に有効です。
冬の結露対策で加湿器と除湿機を同時に使うことはありますか?
あります。冬は外気が低温で乾燥するため通常は加湿が必要ですが、加湿しすぎると窓ガラス・壁の冷たい面で水蒸気が結露し、カビの原因になります。室温18-22℃で湿度50-60%が快適とされますが、断熱性能が低い住宅では湿度50%でも結露することがあり、その場合は加湿器を控えめにしつつ、窓際にデシカント式除湿機を置いて結露水を回収する併用が現実解になります。湿度計を1台用意し、湿度40%以下なら加湿、60%以上なら除湿、と運用するのが基本です。
電気プランを切り替えれば加湿・除湿の電気代は下がりますか?
加湿器単体は月数百円なのでプラン切替の効果は限定的ですが、除湿機(特にデシカント式やハイブリッド式)を梅雨・冬に連続稼働する世帯は、家全体の月間使用量が300kWh超になりやすく、プラン切替で年1万円〜数万円の差が生まれることがあります。特にエアコン・部屋干し乾燥・浴室乾燥との併用で電気代がかさむ世帯は、従量料金3段階目(300kWh超部分)の単価が安いプランや基本料金0円型プランの試算をおすすめします。
出典・参考情報
- 日本電機工業会(JEMA) 加湿器の方式区分:https://www.jema-net.or.jp/Japanese/ha/danbou/whats_k.html
- 全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問Q&A (電気料金目安単価31円/kWh):https://www.eftc.or.jp/qa/
- 資源エネルギー庁 省エネポータル(家庭の省エネ):https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/
- JEMA(日本電機工業会) 加湿器・除湿機の方式区分 + 主要メーカー各社の公開カタログ仕様(方式別消費電力レンジ)
- JIS C 9617(家庭用除湿機の試験方法)・JIS B 8616(加湿装置の試験方法)
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