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家電と電気代の知識

IHとガスコンロ、どちらが安い?

強火1時間・1L沸騰コストを都市ガス・LPガス別に徹底比較

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※本記事は2026年5月時点の情報です。電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(2022年7月22日改定値)、都市ガスは205円/m³(経産省 都市ガス料金平均レンジ)、LPガスは665円/m³(石油情報センター 全国平均レンジ)で試算しています。実際の単価は契約事業者・地域・季節で変動します。

「IHクッキングヒーターは消費電力が大きそうで電気代が高そう」「ガスコンロのほうがランニングコストは安い」――こうした通念で IH かガスコンロかを選んでしまうと、家庭によっては年1〜2万円損する可能性があります。

結論はガスの種類(都市ガスかLPガスか)で大きく分かれます。本記事では「熱効率・強火1時間コスト・1L沸騰コスト・調理時間・電気プランの影響」 の5軸で公的データを引用しながら徹底比較します。

結論:3行でわかる違い

IHクッキングヒーターガスコンロ
熱効率(代表値)約90%約56%(実使用40〜60%)
強火1時間コスト(都市ガス家庭)約62円約76円
強火1時間コスト(LPガス家庭)約62円約112円
1L沸騰コスト(都市ガス家庭)約3.2円約3.8円
1L沸騰コスト(LPガス家庭)約3.2円約5.6円
瞬間消費電力 / 火力2.0〜3.0kW強火 約4.65kW(投入)
本体価格(目安)約8〜25万円約3〜10万円

※電気代は31円/kWh、都市ガスは205円/m³(45MJ/m³換算)、LPガスは665円/m³(99MJ/m³換算)で算出。熱効率はJIS S 2103試験条件下の代表値で、実使用は鍋種・火力で変動します。

「IHは電気代が高い」 通念の正体
通念の根拠は2点。①瞬間消費電力(2,000〜3,000W)が大きく見えること、②ガスからIHに切り替えると「電気代だけ」 上がる(ガス代は下がるが意識されない)こと。実際は熱効率の差(IH約90% / ガスコンロ約56%)で投入エネルギーは小さく済み、特にLPガス家庭ではIHの方が約50円/h 低い試算結果になります。

熱効率の違い:なぜIHは効率が良いのか

① IHは鍋底を直接電磁誘導で発熱させる

IHクッキングヒーターはトッププレート下のコイルから磁力線を発生させ、鍋底自体を発熱させる「電磁誘導加熱」 方式です。鍋の中で熱が発生するため、空気中への放熱ロスが極めて小さく、熱効率は約90%に達します(JIS C 9335-2-9 等の試験条件下の代表値)。

② ガスコンロは炎の熱の多くが空気に逃げる

ガスコンロは炎で鍋底を加熱しますが、炎の熱は鍋肌全体に当たらず、その大半が鍋の側面を回り込んで空気中に逃げてしまいます。経産省の省エネ大賞で表彰された最新の高効率ガスコンロでも熱効率は56.3%にとどまり、一般的な家庭用ガスコンロは40〜60%の範囲に分布します。

この効率差は、JIS S 2103(家庭用ガス調理機器)の試験でも同様の傾向が確認されています。鍋底のサイズ・形状・炎の調節で多少の上下はあるものの、構造的にIHを上回ることは難しい状況です。

③ 1Lの水を沸かすのに必要な理論エネルギー

1Lの水(20℃)を100℃まで加熱するには、物理的に約336kJ(キロジュール)= 約0.093kWhのエネルギーが必要です。これは「絶対値」 で、どの加熱手段でも下回れません。

IH(熱効率90%)は約0.10kWh、ガスコンロ(熱効率40%・実使用下限値で保守的に試算)は約0.83MJ相当のガスを消費する計算になります。効率が悪い分、 ガスは熱量を多く投入して帳尻を合わせる構造です。

熱効率の出典について
家庭用ガス機器の熱効率はJIS S 2103(家庭用ガス調理機器)で測定方法が規定されており、各メーカーのカタログ値ではガスこんろが40〜55%、高効率モデルで56〜60%程度が一般的です。IHクッキングヒーターの熱効率は、IEC 60335-2-9等に基づく試験で各社カタログ値が80〜90%台になっています。本記事の試算ではIH 90%、ガスコンロは1時間試算で「投入熱量4.65kW」 を採用し、1L沸騰試算では実使用下限の40%で保守的に計算しています。

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強火1時間コスト:都市ガス vs LPガス vs IH

まず日常の調理シーンに近い「強火1時間連続使用」 のコストを比較します。家庭用ガスコンロの強火は約4.65kW(=16.74MJ/h)が業界標準値です。

方式投入エネルギー単価1時間コスト
IH(強火)2.0 kWh31円/kWh約62円
ガスコンロ(都市ガス)0.372 m³205円/m³約76円
ガスコンロ(LPガス)0.169 m³665円/m³約112円

※IHは消費電力2.0kWで1時間連続使用を想定。ガスコンロは投入熱量4.65kW=16.74MJ/h を熱量(45MJ/m³ 都市ガス / 99MJ/m³ LPガス)で除して使用ガス量を算出。地域・事業者で単価は変動します。

この試算条件下では、LPガス家庭ではIHが1時間あたり約50円安く、毎日1時間調理する世帯なら年間約1.8万円の差になります。都市ガス家庭は1時間あたり約14円差(年間約5,000円)で僅差。LPガス家庭ほどIH切替のメリットが大きいことが分かります。

1L沸騰コスト:日常の湯沸かしで比較

次に「1Lのお湯を沸かす」 という具体シーンで比較します。こちらは熱効率(IH 90% / ガスコンロ 40% : 実使用下限値で保守的に試算)を加味した実消費ベースです。

方式実消費エネルギー単価1Lコスト
IH0.10 kWh31円/kWh約3.2円
ガスコンロ(都市ガス)0.019 m³205円/m³約3.8円
ガスコンロ(LPガス)0.0084 m³665円/m³約5.6円

※1L沸騰必要理論熱量0.093kWh(336kJ)を、IH 熱効率90%・ガスコンロ熱効率40%(実使用下限)で割り戻して算出。実際の効率は鍋種・火力で変動します。

1L沸騰では試算条件下でIHが最も低い試算値 (約3.2円)。都市ガスとは0.6円差(年5L/日想定で約1,000円差)、LPガスとは2.4円差(同 約4,000円差)になります。湯沸かしを電気ケトルに任せれば、ガスコンロ世帯でもさらに効率化できます(関連記事参照)。

都市ガスかLPガスかの確認方法
ガス検針票・領収書・契約書のいずれかに記載されています。「13A」「12A」 と書かれていれば都市ガス、「LPガス」「プロパンガス」 と書かれていればLPガスです。マンション・アパートで分からない場合は管理会社・大家に確認してください。都市ガスは関東・関西・中部の市街地中心、LPガスは郊外・地方部・戸建てに多い傾向があります。

シーン別:あなたの世帯はどちらが向く?

🏠LPガス契約・戸建て世帯IH推奨

試算条件下では強火1時間あたり50円差(年1.8万円)、1L沸騰でも2.4円差。LPガス単価が高いほどIHのコストメリットが大きく、新築・リフォーム時にIH導入を検討する価値が高い。

🌃共働き・夜遅く調理する世帯IH + オール電化プラン推奨

夜間単価が日中の7-8割程度(現行主流プラン)のオール電化プランなら、夕食を早めに作って保温・夜間に作り置きで電気代を更に下げられる。IH+電気給湯器でガス基本料金(月1,500〜2,000円)もまるごと削減可能。

🥢毎日中華・煽り調理・直火炙りが多い世帯ガスコンロ推奨

IHは鍋底をプレートに密着させる必要があり、煽り調理や直火炙りができない。都市ガス家庭で日常的に強火調理を楽しむならガスコンロが現実解。1時間差14円(年5,000円)はコンロ選びの自由度コストとして許容。

🍳都市ガス契約・調理時間30分以下/日どちらでも僅差

調理時間が短ければ年間差は2,000〜5,000円程度。コスト以外の判断軸(清掃のしやすさ・停電耐性・既存設備)で選んで良い。リフォーム費用を考えれば現状維持が現実的。

災害・停電時の備えを重視する世帯ガスコンロ推奨

IHは停電時に使えない。カセットコンロを併用する手はあるが、日常の主たる調理手段としてガスコンロを残すと災害時の安心感は大きい。コスト差を「保険料」 と捉えて選ぶ判断もアリ。

🧑‍🍳新築・大規模リフォーム検討中IH + オール電化を試算推奨

設備工事を伴うタイミングならIHの初期費用差(8〜25万円 vs ガス3〜10万円)が許容しやすい。LPガス契約予定地域なら特にIH+オール電化の月額メリットが大きく、5〜10年で本体差額を回収できる試算になることが多い。

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オール電化割引込み:IHの真の競争力

IHを導入すると、同時に「ガス基本料金」 が不要になります。電気給湯器(エコキュート等)も併せて導入してオール電化プランに切り替えると、コスト構造が大きく変わります。

項目ガス併用(現状)オール電化(IH+電気給湯器)
ガス基本料金(月)約1,500〜2,000円0円
調理コスト(都市ガス・月)約2,300円IH 約1,900円
調理コスト(LPガス・月)約3,400円IH 約1,900円
深夜電力単価なし約22〜28円/kWh (旧プランで15-18円)
年間光熱費差(LP→オール電化)約3〜5万円減

※家族4人・月使用電力量400kWh・調理1時間/日想定の試算例。実際の料金は契約プラン・地域・季節で変動します。ガス基本料金は地域・契約口径で1,500〜2,500円/月の幅があります。

LPガス家庭がオール電化に切り替えた場合、調理コスト差(年1.8万円)+ガス基本料金削減(年2万円前後)+深夜電力活用で年合計3〜5万円規模の光熱費削減が見込める試算になります。ただし給湯器の交換時期・電気容量(40A以上推奨)・初期費用回収期間など個別事情で結論は変わるため、自家庭の使用パターンでシミュレーターを回すのが確実です。

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IH選びのポイント:失敗しない4つの軸

1

契約電気容量(40A以上推奨)

IHは2.0〜3.0kWの瞬間消費電力。エアコン・電子レンジ併用時にブレーカーが落ちないよう、戸建ては40A以上(オール電化なら60A推奨)、マンションは30A以上を確認。容量変更には電力会社への申込が必要で、工事費用は基本不要(分電盤改修が必要な場合は数万円)。

2

IH対応鍋の有無

鉄・ステンレス製の鍋は対応、アルミ・銅・耐熱ガラスは原則非対応(オールメタル対応IHなら一部使用可)。底が平らで直径12〜26cmが推奨範囲。既存鍋の買い替えコスト(2〜5万円程度)も初期投資に含めて検討する。

3

天板素材(セラミック vs ガラス)

セラミック天板は熱や衝撃に強く、長期使用でも変色しにくい(高価格帯)。ガラス天板は軽量で価格が抑えめだが、硬いものを落とすと割れるリスクあり。掃除のしやすさは両者とも優秀(平面天板のためガスコンロの五徳に比べて手入れが容易)。

4

2口 vs 3口 / グリル機能

単身〜2人世帯は2口でも十分、3〜4人家族は3口推奨。グリル機能(魚焼き)は機種で性能差大。ロースト・両面焼き対応モデルは料理の幅が広がるが価格は5〜10万円アップ。グリル機能を使わない世帯はシンプルな2口モデルで本体価格を抑えられる。

結論まとめ:直感に反する多軸の答え

LPガス家庭

試算条件下ではIHが安い試算。強火1時間あたり50円差、年1〜2万円の差。新築・リフォーム機会があればIH + オール電化を最優先で検討する価値あり。

都市ガス家庭

僅差で同等(IH 62円/h vs 都市ガス 76円/h)。調理スタイル・既存設備・初期費用で判断する余地大。コスト以外の軸(清掃性・停電耐性・調理の自由度)で選んで OK。

オール電化割引込み

ガス基本料金が不要になり、深夜単価も活用可能。LPガス家庭がオール電化に切り替える場合は年3〜5万円規模の光熱費削減が見込める試算。給湯器交換時期に合わせて検討するとリフォーム効率が良い。

ガスコンロが向く人

毎日中華・煽り・直火炙り調理を楽しむ世帯、停電時の調理手段を残したい世帯、リフォーム予算が取れない世帯はガスコンロを継続するのが現実解。コスト差は「自由度・安心感への対価」 と整理する。

よくある質問

IHクッキングヒーターとガスコンロ、結局どちらが安いですか?

ガスの種類で結論が分かれます。強火1時間あたりの試算ではIHが約62円(2.0kWh×31円/kWh)、都市ガスコンロが約76円、LPガスコンロが約112円。都市ガス家庭では僅差(年5,000円程度)、LPガス家庭ではIHが約50円/h 低く(年1〜2万円差)なる試算結果です。「IHは電気代が高い」 という通念は熱効率(IH約90% / ガスコンロ約56%)を考慮すると必ずしも当てはまりません。電力量料金単価31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)、都市ガス205円/m³、LPガス665円/m³(2026年初頭時点の全国平均レンジ)で試算しています。

なぜ「IHは電気代が高い」 と言われるのですか?

瞬間消費電力(2,000〜3,000W)が大きいことと、ガスコンロからIHに切り替えると電気の使用量が増えて電気代が上がる(=ガス代は下がるが、それを合算しない)印象論が主因です。実際には熱効率がIH約90%・ガスコンロ約56%(JIS S 2103試験条件下の代表値 / 実使用は鍋種・火力で変動)と大きく差があり、投入エネルギー量で比較すればIHのほうがロスが小さい構造です。「電気代」 単体ではなく「光熱費合計(電気+ガス)」 で見ることが正しい比較です。

1Lのお湯を沸かす場合、IHとガスコンロでどれくらい違いますか?

1L(20℃→100℃)の沸騰に必要な理論熱量は約0.093kWh(336kJ)です。試算条件下では、IH(熱効率約90%)約3.2円、都市ガスコンロ(熱効率約56%・JIS試験条件下の代表値、1L沸騰は実使用下限40%で保守試算)約3.8円、LPガスコンロ(同)約5.6円。LPガス家庭ではIHが1Lあたり約2.4円安く、毎日5L沸かす世帯なら年4,000円程度の差になります。なお1L沸騰の試算では、入力熱量に対するロスを反映するため熱効率を40%(実使用下限)で計算し、保守的な値を採用しています。

IHは火力が弱いという話を聞きますが本当ですか?

最新の200V IHクッキングヒーターは強火2,000〜3,000W(=2.0〜3.0kW)で、家庭用ガスコンロの強火(4〜4.65kW)より投入熱量は小さいです。ただしIHは熱効率約90%で鍋に届く熱量はガスコンロと同等以上になることが多く、湯沸かし・炒め物では「速さ」 で大差を感じない世帯が多いです。一方、中華鍋を煽る・直火で炙る等の調理は構造上IHでは不可。「強火で長時間炒める」 が日常の世帯はガスコンロ、「短時間調理が多い」 世帯はIHが向きます。

オール電化プランに切り替えたらIHはもっと安くなりますか?

はい、深夜電力単価が安い時間帯別プラン(オール電化向け)を契約していれば、夜間に炊飯・調理を回すことでさらにコストを下げられます。現行主流プランの深夜単価は約22〜28円/kWh(日中の7-8割程度)で、旧プランでは15〜18円/kWh程度になる商品もあります。夕食を早めに作って保温する・朝食を前夜に仕込むといった運用で月数百〜千円台の上乗せ節約が見込めます。ただしオール電化プランは日中の単価が割高になる商品もあるため、自家庭の昼夜の使用比率を踏まえてシミュレーターで試算するのが確実です。

電気プランを切り替えれば調理の電気代はもっと下がりますか?

IHコンロ単体での電気代は世帯の調理頻度で月1,000〜3,000円程度。プラン切替でこの家電だけの電気代を下げる効果は限定的ですが、IHや食洗機・電気給湯器を併用するオール電化世帯では月400〜700kWhの使用量になることが多く、従量料金3段階目の単価が安いプランや基本料金0円型・オール電化専用プランへの切替で年1〜数万円の差が生まれることがあります。シミュレーターで自家庭の使用量を入力すれば、契約中プランとの差額を約款ベースで試算できます。

出典・参考情報

✓ この記事の検証プロセス

  • 電力会社の公式約款・料金表PDFを一次情報として参照 (二次情報は使用しません)
  • 49社・370プラン をDBに構造化済。単価・燃調・解約金等を計算エンジンで再現
  • 1社1ファイルの「ファクトカード」でデータベース値・公式値・記事値の3点突合を実施
  • 記事公開前に料金・約款条件のハードコード値を機械的に検査(自動lint)して数値乖離を防止
  • 検証手順の詳細は 計算ロジック / 執筆チーム で公開
最終更新: 2026年5月27日

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