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在宅医療と電気

医療機器の在宅使用 停電に強いプラン

電気代の目安・停電時の備え・プラン選びの注意点

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※本記事は2026年4月時点の情報です。医療的な判断は必ず主治医・在宅医療機器提供業者にご相談ください。

在宅酸素療法(HOT)、人工呼吸器、吸引器、CPAPなど、生活や命に直結する医療機器を自宅で使うご家庭にとって、電気は「あって当たり前」では済まされないインフラです。

本記事では、在宅医療機器を使うご家庭が知っておきたい「電気代の目安」「停電時のセーフティネット」「電力プラン選びの注意点」を、できるだけ一般論として整理しました。個別の推奨事業者には触れず、判断材料として使える共通の考え方を解説します。

在宅医療機器が電気代に与える影響

医療機器の電気代は、消費電力(W)× 使用時間(h)÷ 1000 × 電力量単価(円/kWh)で計算できます。目安として30円/kWhで試算すると、代表的な機器の電気代はおおよそ次の通りです。

機器消費電力目安月kWh目安月額目安
在宅酸素濃縮器(24h連続)約300〜400W約216〜288kWh約1,500〜4,000円
人工呼吸器(在宅用・24h)約30〜80W約22〜58kWh約700〜1,800円
CPAP(睡眠時8h)約30〜60W約7〜14kWh約200〜500円
電動吸引器(1日30分想定)約100〜200W約1.5〜3kWh約50〜150円
ネブライザー(1日2回×10分)約150W約1.5kWh約50〜100円

※各機器の消費電力は機種・設定により大きく異なります。必ず取扱説明書または機器本体の銘板で実値をご確認ください。

計算例:CPAPを毎晩8時間使う場合

消費電力50W × 8時間 × 30日 ÷ 1000 = 12kWh/月。従量単価30円/kWhなら約360円/月、40円/kWhなら約480円/月です。機器の消費電力を銘板で確認し、お住まいのエリアの従量3段目単価を掛け算すれば、ご自宅の実額が算出できます。

在宅酸素療法(HOT)の電気代補助について

在宅酸素療法を実施している患者様の多くは、機器を貸与している医療機関や業者から電気代相当額の一部が補助・還元される仕組みがあります。制度の有無・金額は医療機関ごとに異なるため、必ず主治医・担当MSW(医療ソーシャルワーカー)に確認してください。

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停電時のセーフティネット

医療機器利用家庭にとって、停電は最も深刻なリスクです。備えは「機器側」「電力会社側」「連絡体制」の3方向から準備します。

1. 機器側の備え(予備電源)

多くの酸素濃縮器は内蔵バッテリーを持たず、停電と同時に停止します。以下のいずれかを準備しておくのが基本です。

  • 携帯用酸素ボンベ:HOT利用時は医療機関から貸与されるのが一般的。残量と使用可能時間を常に把握
  • ポータブル電源(UPS・大容量バッテリー):機器の消費電力と連続使用時間から必要容量を逆算
  • 家庭用発電機・EV給電:長時間停電への備え。屋外設置や排気の安全確保が必須

2. 電力会社側の事前登録制度

各エリアの送配電事業者(電気を運ぶ会社、小売会社とは別)では、医療機器利用者向けに停電情報の優先提供や復旧時の情報連絡を行う「事前登録」制度を設けていることが多いです。

登録しても停電は防げません

事前登録はあくまで「情報提供の優先」であって、停電自体を避けられるわけではありません。予備電源の準備が必須という前提は変わらない点に注意してください。申込窓口はお住まいエリアの送配電事業者のウェブサイトで「医療機器」「人工呼吸器」等のキーワードで検索できます。

3. 連絡体制の整備

  • 主治医・訪問看護ステーション・機器提供業者の緊急連絡先を一覧化し、家族全員で共有
  • 停電時の初動手順(予備電源に切替→業者・主治医連絡→状況次第で救急要請)を紙でも掲示
  • 地域の基幹病院の位置・停電時受入体制を事前確認
1

災害時要配慮者登録(自治体)も忘れずに

市区町村の「避難行動要支援者名簿」に登録しておくと、災害時に自治体・民生委員・消防から支援が受けられる可能性があります。電力会社の登録とは別物で、両方登録しておくのが安全です。

中部エリア(中部電力パワーグリッド管内)の事情

中部エリア(愛知・岐阜・三重・静岡の富士川以西・長野)の送電網は中部電力パワーグリッドが担います。医療機器利用者が押さえておきたい中部エリア特有のポイントを整理します。

  • 停電情報の事前登録:中部電力パワーグリッドのウェブサイトで「医療機器使用のお客さま」向けの連絡先登録を受け付けています。契約している小売会社がどこであっても、送配電の窓口に直接申し込みます
  • 台風・南海トラフ想定:太平洋側は台風・豪雨による停電が発生しやすく、南海トラフ地震への備えも欠かせません。予備電源は最低でも連続12時間、可能なら72時間分の稼働を見込むのが目安です
  • 中部電力ミライズの規制料金:従量電灯B・Cは燃料費調整額に上限があり、価格が急騰しにくい構造です。24時間稼働の機器を抱える家庭では、価格の予測可能性という観点で候補の一つになります

「電源供給契約(重要負荷契約)」という選択肢

一部の送配電事業者では、人工呼吸器など生命維持に直結する機器を使う需要家向けに、通常より高い信頼度で電気を供給する契約メニュー(重要負荷契約・医療機関向け契約等)を用意している場合があります。一般家庭で利用できるかは条件が限られますが、主治医・機器提供業者・お住まいエリアの送配電事業者に相談する価値はあります。なお本制度は停電を完全に避けるものではなく、あくまで予備電源との併用が前提です。

プラン選びの注意点

医療機器利用家庭の電力プラン選びで、料金の安さだけで判断してはいけない理由がいくつかあります。

1

市場連動型プランは避けるのが無難

卸電力市場の価格に料金が連動するプランは、平時は割安でも市場高騰時に請求額が数倍になるリスクがあります。24時間稼働の医療機器を抱える家庭では、予測可能性の低いプランは避け、固定単価のプランを選ぶのが安全です。

2

燃料費調整額の上限有無を確認

大手電力の規制料金メニューには燃料費調整額の上限がありますが、新電力や自由料金メニューでは上限が撤廃されているケースがあります。燃料価格が高騰した局面で請求が膨らむ構造を避けるため、契約前に必ず料金約款・重要事項説明を確認しましょう。

3

契約解除の条件・違約金

在宅医療の状況は変わります。転居・入院・施設入所などで契約を見直す可能性がある以上、最低契約期間と解約違約金の条件は事前に確認必須です。

4

停電時の復旧順序は小売会社では決まらない

停電復旧の順序は送配電事業者が決めるため、どの小売電力会社と契約していても同じです。『停電に強いプラン』という表現は料金の安定性を指すもので、停電復旧の速さを示すものではありません。

5

使用量が多い家庭は『使うほど得』な単価体系を選ぶ

在宅酸素・人工呼吸器を常時稼働する家庭は月間使用量が増えやすい傾向があります。使用量が多いほど割安になる料金体系(従量3段目の単価が安いプラン等)が向いています。使用量の少ない人向けの基本料金0円プランは必ずしも有利ではありません。

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大手電力と新電力、どちらが合うか(一般論)

医療機器利用家庭の視点で、大手電力(旧一般電気事業者)と新電力(電力小売自由化以降に参入した事業者)を一般論として比較すると次の通りです。

観点大手電力(規制料金)新電力(固定単価)
料金の予測可能性高い(燃調上限あり)プランによる(要確認)
価格水準標準的割安な場合が多い
撤退・倒産リスク極めて低い相対的にやや高い(注意)
停電時の復旧同じ(送配電が担当)同じ(送配電が担当)
違約金原則なしあるプランが多い

※あくまで一般的傾向であり、個別プランごとに条件は異なります。契約前に必ず料金約款・重要事項説明書をご確認ください。

医療機器利用家庭で最も重視すべきは「料金の予測可能性」と「安定供給されること(小売の倒産・撤退リスクを避ける)」の2点です。安さ優先で頻繁に乗り換えるより、信頼性を重視しつつシミュレーションで年間料金が最も低い安定プランを選ぶのが現実的な解になります。

まとめ

在宅医療機器を使うご家庭にとって、電気は「止まったら困る」では済まないインフラです。本記事の要点は次の3つです。

  • 電気代:在宅酸素濃縮器は月1,500〜4,000円が目安。医療機関からの補助制度の有無も確認する
  • 停電対策:予備電源・送配電事業者への事前登録・連絡体制の3点セットで備える
  • プラン選び:市場連動型を避け、燃調上限・違約金・使用量帯の単価を確認

お住まいのエリアで、信頼性と価格のバランスが取れたプランを知りたい方は、エネジェントのシミュレーターで無料診断してみてください。市場連動型プラン・燃調上限なしプランを除外して、医療機器利用家庭に向く「固定単価・燃調上限あり」のプランに絞り込むこともできます。個別の販売営業は一切行いません。

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出典・参考

  • 厚生労働省「在宅医療の推進について」
  • 経済産業省 資源エネルギー庁「電力小売全面自由化」関連資料
  • 各エリア送配電事業者「医療機器利用者向け事前登録」窓口
  • エネジェント シミュレーション結果(2026年4月時点)
最終更新: 2026年4月14日

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