エネジェント

在宅医療と電気

医療機器の在宅使用 停電に強いプラン

電気代の目安・停電時の備え・プラン選びの注意点

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※本記事は2026年5月時点の情報です。医療的な判断は必ず主治医・在宅医療機器提供業者にご相談ください。

在宅酸素療法(HOT)、人工呼吸器、吸引器、CPAPなど、生活や命に直結する医療機器を自宅で使うご家庭にとって、電気は「あって当たり前」では済まされないインフラです。

本記事では、在宅医療機器を使うご家庭が知っておきたい「電気代の目安」「停電時のセーフティネット」「電力プラン選びの注意点」を、できるだけ一般論として整理しました。個別の推奨事業者には触れず、判断材料として使える共通の考え方を解説します。

在宅医療機器が電気代に与える影響

医療機器の電気代は、消費電力(W)× 使用時間(h)÷ 1000 × 電力量単価(円/kWh)で計算できます。目安として31円/kWh(家電公取協の業界共通目安単価)で試算すると、代表的な機器の電気代はおおよそ次の通りです。使用量が多い世帯では大手電力の規制料金 第3段階単価で32〜40円/kWhになるケースもあります。

機器消費電力目安月kWh目安月額目安
在宅酸素濃縮器(24h連続)約250〜400W(機種・流量で幅大)約180〜288kWh約5,500〜9,000円
人工呼吸器(在宅用・加温加湿器併用 24h)約50〜200W約36〜144kWh約1,100〜4,500円
CPAP(睡眠時8h)約30〜60W約7〜14kWh約220〜450円
電動吸引器(1日30分想定)約100〜200W約1.5〜3kWh約50〜150円
ネブライザー(1日2回×10分)約150W約1.5kWh約50〜100円

※各機器の消費電力は機種・設定により大きく異なります。酸素濃縮器は流量設定(L/分)でも消費電力が変わり、人工呼吸器は加温加湿器を併用すると消費電力が2〜3倍になることがあります。必ず取扱説明書または機器本体の銘板で実値をご確認ください。

計算例:CPAPを毎晩8時間使う場合

消費電力50W × 8時間 × 30日 ÷ 1000 = 12kWh/月。家電公取協の目安単価31円/kWhなら約372円/月、規制料金第3段階で38円/kWh想定なら約456円/月です。機器の消費電力を銘板で確認し、お住まいのエリアの従量3段目単価を掛け算すれば、ご自宅の実額が算出できます。

在宅酸素療法(HOT)の電気代助成について

在宅酸素療法・在宅人工呼吸器の電気代については、都道府県・市区町村が独自に助成事業を設けているケースがあります(例:仙台市は月額3,000円、北海道は12時間以上使用で月額2,000円、鹿児島市・福岡市等でも実施)。月額1,000〜3,000円程度が相場ですが、制度の有無・金額・対象要件は自治体により大きく異なります。申請窓口はお住まいの市区町村の保健所・障害福祉課・高齢福祉課などの福祉部門です。医療機関は証明書の発行を依頼する窓口になることはありますが、支給主体ではありません。詳細は自治体の公式サイトで「在宅酸素 助成」「人工呼吸器 助成」と検索するか、市区町村役場に直接お問い合わせください。

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停電時のセーフティネット

医療機器利用家庭にとって、停電は最も深刻なリスクです。備えは「機器側」「電力会社側」「連絡体制」の3方向から準備します。

1. 機器側の備え(予備電源)

多くの酸素濃縮器は内蔵バッテリーを持たず、停電と同時に停止します。以下のいずれかを準備しておくのが基本です。

  • 携帯用酸素ボンベ:HOT利用時は機器提供業者(在宅酸素事業者)から貸与されるのが一般的。残量と使用可能時間を常に把握
  • ポータブル電源(UPS・大容量バッテリー):機器の消費電力と連続使用時間から必要容量を逆算
  • 家庭用発電機・EV給電:長時間停電への備え。屋外設置や排気の安全確保が必須

2. 送配電事業者の停電情報サービス

各エリアの送配電事業者(電気を運ぶ会社、小売会社とは別)では、登録地域で停電が発生した際にメール・アプリで通知する「停電情報お知らせサービス」(無料)を提供しています。医療機器利用者向けの個別配慮を相談したい場合は、各送配電事業者のコールセンターに直接問い合わせる方法もあります。

登録しても停電は防げません

停電情報サービスはあくまで「情報提供」であって、停電自体を避けられるわけではありません。復旧の優先順位を保証するものでもありません。予備電源の準備が必須という前提は変わらない点に注意してください。申込窓口はお住まいエリアの送配電事業者のウェブサイトで「停電情報お知らせ」のキーワードで検索できます。

3. 連絡体制の整備

  • 主治医・訪問看護ステーション・機器提供業者の緊急連絡先を一覧化し、家族全員で共有
  • 停電時の初動手順(予備電源に切替→業者・主治医連絡→状況次第で救急要請)を紙でも掲示
  • 地域の基幹病院の位置・停電時受入体制を事前確認
1

災害時要配慮者登録(自治体)も忘れずに

市区町村の「避難行動要支援者名簿」に登録しておくと、災害時に自治体・民生委員・消防から支援が受けられる可能性があります。電力会社の登録とは別物で、両方登録しておくのが安全です。

中部エリア(中部電力パワーグリッド管内)の事情

中部エリア(愛知・岐阜・三重・静岡の富士川以西・長野)の送電網は中部電力パワーグリッドが担います。医療機器利用者が押さえておきたい中部エリア特有のポイントを整理します。

  • 停電情報お知らせサービス:中部電力パワーグリッドは登録地域の停電情報をメール・アプリでプッシュ通知する「停電情報お知らせサービス」を提供しています(無料・一般向け)。契約している小売会社がどこでも利用可能です。医療機器利用者向けの個別配慮(復旧優先順位の調整等)は別途、ネットワークコールセンター(0120-924-148)に直接相談してください
  • 台風・南海トラフ想定:太平洋側は台風・豪雨による停電が発生しやすく、南海トラフ地震への備えも欠かせません。予備電源は最低でも連続12時間、可能なら72時間分の稼働を見込むのが目安です
  • 中部電力ミライズの規制料金:従量電灯B・Cは燃料費調整額に上限があり、価格が急騰しにくい構造です。24時間稼働の機器を抱える家庭では、価格の予測可能性という観点で候補の一つになります

自治体の非常用電源装置 購入助成も検討する

在宅人工呼吸器を使用する障がい者・難病患者向けに、非常用電源装置(蓄電池・発電機等)の購入費を助成する事業を、札幌市・神戸市・京都市・東京都北区・江戸川区などが実施しています。電気代助成とは別枠で、購入費の数万円〜十数万円が補助対象になるケースがあります。お住まいの市区町村の障害福祉課・保健所や、難病医療センターに相談してください。なおこれらの助成は予備電源の購入を支援するものであり、停電そのものを防ぐ仕組みではありません。

プラン選びの注意点

医療機器利用家庭の電力プラン選びで、料金の安さだけで判断してはいけない理由がいくつかあります。

1

市場連動型プランは避けるのが無難

卸電力市場の価格に料金が連動するプランは、平時は割安でも市場高騰時に請求額が数倍になるリスクがあります。24時間稼働の医療機器を抱える家庭では、予測可能性の低いプランは避け、固定単価のプランを選ぶのが安全です。

2

燃料費調整額の上限有無を確認

大手電力の規制料金メニューには燃料費調整額の上限がありますが、新電力や自由料金メニューでは上限が撤廃されているケースがあります。燃料価格が高騰した局面で請求が膨らむ構造を避けるため、契約前に必ず料金約款・重要事項説明を確認しましょう。

3

契約解除の条件・違約金

在宅医療の状況は変わります。転居・入院・施設入所などで契約を見直す可能性がある以上、最低契約期間と解約違約金の条件は事前に確認必須です。

4

停電時の復旧順序は小売会社では決まらない

停電復旧の順序は送配電事業者が決めるため、どの小売電力会社と契約していても同じです。『停電に強いプラン』という表現は料金の安定性を指すもので、停電復旧の速さを示すものではありません。

5

使用量が多い家庭は『使うほど得』な単価体系を選ぶ

在宅酸素・人工呼吸器を常時稼働する家庭は月間使用量が増えやすい傾向があります。使用量が多いほど割安になる料金体系(従量3段目の単価が安いプラン等)が向いています。使用量の少ない人向けの基本料金0円プランは必ずしも有利ではありません。

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大手電力と新電力、どちらが合うか(一般論)

医療機器利用家庭の視点で、大手電力(旧一般電気事業者)と新電力(電力小売自由化以降に参入した事業者)を一般論として比較すると次の通りです。

観点大手電力(規制料金)新電力(固定単価)
料金の予測可能性高い(燃調上限あり)プランによる(要確認)
価格水準標準的割安な場合が多い
撤退・倒産リスク極めて低い相対的にやや高い(注意)
停電時の復旧同じ(送配電が担当)同じ(送配電が担当)
違約金原則なしあるプランが多い

※あくまで一般的傾向であり、個別プランごとに条件は異なります。契約前に必ず料金約款・重要事項説明書をご確認ください。

医療機器利用家庭で最も重視すべきは「料金の予測可能性」と「安定供給されること(小売の倒産・撤退リスクを避ける)」の2点です。安さ優先で頻繁に乗り換えるより、信頼性を重視しつつシミュレーションで年間料金が最も低い安定プランを選ぶのが現実的な解になります。

まとめ

在宅医療機器を使うご家庭にとって、電気は「止まったら困る」では済まないインフラです。本記事の要点は次の3つです。

  • 電気代:在宅酸素濃縮器は機種・流量により月5,500〜9,000円程度。お住まいの市区町村の保健所・障害福祉課に「在宅酸素 助成」「人工呼吸器 助成」と問い合わせて自治体助成の有無を確認する(支給主体は医療機関ではなく自治体)
  • 停電対策:予備電源・送配電事業者の停電情報サービス・連絡体制の3点セットで備える。非常用電源の購入費助成を行う自治体もある
  • プラン選び:市場連動型を避け、燃調上限・違約金・使用量帯の単価を確認

お住まいのエリアで、信頼性と価格のバランスが取れたプランを知りたい方は、エネジェントのシミュレーターで無料診断してみてください。市場連動型プラン・燃調上限なしプランを除外して、医療機器利用家庭に向く「固定単価・燃調上限あり」のプランに絞り込むこともできます。個別の販売営業は一切行いません。

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出典・参考

  • 厚生労働省「在宅医療の推進について」
  • 経済産業省 資源エネルギー庁「電力小売全面自由化」関連資料
  • 家電公取協(家電公正取引協議会)電気代目安単価 31円/kWh
  • 仙台市「在宅酸素療法者酸素濃縮器等利用助成」、北海道「在宅難病患者等酸素濃縮器使用助成事業」、福岡市・鹿児島市・盛岡市・郡山市等 各自治体の電気料助成制度
  • 札幌市・神戸市・京都市・東京都北区・江戸川区 等「在宅人工呼吸器使用者 非常用電源装置購入費助成」
  • 各エリア送配電事業者「停電情報お知らせサービス」窓口
  • エネジェント シミュレーション結果(2026年4月時点)

よくある質問

在宅で使う医療機器の電気代はどのくらいですか?

機器・流量・併用機器により大きく異なりますが、在宅酸素濃縮器(HOT)は機種・流量により約250〜400Wで、24時間稼働で月5,500〜9,000円程度になることがあります(家電公取協の目安単価31円/kWh試算)。人工呼吸器は本体30〜80W+加温加湿器併用で50〜200W、CPAPは30〜60W程度が一般的です。正確な額は機器の消費電力(W)×使用時間×単価で算出してください。

停電になったら医療機器はすぐ止まってしまいますか?

内蔵バッテリーを搭載している機種では数時間は稼働できますが、酸素濃縮器など多くの機器は停電と同時に停止します。機器の取扱説明書で停電時動作を確認し、予備電源(外部バッテリー・UPS・発電機)と主治医への連絡手順をあらかじめ準備しておく必要があります。

医療機器を使っていることを電力会社に事前登録できますか?

各エリアの送配電事業者(送電網を運営する会社)が提供する「停電情報お知らせサービス」(無料・一般向け)に登録すると、停電発生時にメール・アプリで通知を受け取れます。医療機器利用者向けの個別配慮を希望する場合は、送配電事業者のコールセンターに直接相談する方法があります。いずれも停電自体を防げるものではなく、復旧の優先順位を保証するものでもないため、予備電源の準備が必須です。

医療機器利用者にはどんな電気プランが向いていますか?

24時間稼働で使用量が多くなりがちなため、従量料金単価が安定している「大手電力の標準プラン」または「新電力の固定単価プラン」が候補になります。市場連動型は価格高騰リスクがあるため避けるのが無難です。また短期の違約金や燃料費調整額の上限撤廃にも注意が必要です。

✓ この記事の検証プロセス

  • 電力会社の公式約款・料金表PDFを一次情報として参照 (二次情報は使用しません)
  • 49社・370プラン をDBに構造化済。単価・燃調・解約金等を計算エンジンで再現
  • 1社1ファイルの「ファクトカード」でデータベース値・公式値・記事値の3点突合を実施
  • 記事公開前に料金・約款条件のハードコード値を機械的に検査(自動lint)して数値乖離を防止
  • 検証手順の詳細は 計算ロジック / 執筆チーム で公開
最終更新: 2026年5月31日

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