※本記事は2026年6月時点の情報です。各プランの単価は燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金を含みません。電力量料金の目安単価は全国家庭電気製品公正取引協議会の31円/kWh(2022年7月22日改定値)を参照しています。
「電気は夜のほうが安い」「だから給湯やお風呂は深夜に」――オール電化や時間帯別プランでは長年これが常識でした。エコキュートや蓄熱式の暖房機を夜間に動かし、割安な深夜電力でまかなう設計です。
ところが近年、その前提が静かに揺らいでいます。旧来型の深夜割引プランは大手で新規受付終了が相次ぎ、逆に 昼間を割安にした「昼シフト型」のプラン が新設され始めました。背景には太陽光発電の大量導入があります。本記事では「何が起きているのか」「今からどのプランを選べるのか」を、各社の公式単価と公的データで中立的に整理します。
結論早見表:旧来型「夜が安い」vs 新設「昼シフト型」
※単価はいずれも燃料費調整額・再エネ賦課金を含まない税込単価(東京電力は2023年7月1日見直し後/中部電力ミライズは2025年4月提供開始時点)。家電公取協の目安単価は31円/kWh(全国主要10社平均・2022年7月改定)。新規受付の有無・単価は今後変更される場合があります。
※単位はすべて円/kWh。「夜が安い型」と「昼が安い型」が市場に並存しており、どちらが必ず得とは一概に言えません。設備・在宅時間帯・エリア・契約条件によって有利不利は変わります。
「夜が安い」前提は、なぜ揺らいでいるのか
① 太陽光の大量導入で、昼の電気が余りやすくなった
かつて深夜電力が安かったのは、夜間は工場や家庭の需要が落ち込む一方、原子力や大型火力は止めにくく、余った電力を使ってもらうために割安な料金が設定されていたためです。「夜は電気が余る・昼は足りない」という需給バランスが前提でした。
ところが太陽光発電が全国に大量導入された結果、晴れた春・秋の昼間は太陽光の発電が地域の需要を上回りやすくなりました。卸電力市場(JEPXスポット市場)では、こうした昼間に価格が 下限の0.01円/kWh まで下がる時間帯(いわゆる0円コマ)が増えています。一日の中で 昼に価格が下がり、太陽光が落ちる夕方から夜にかけて価格が上がる 形に変わってきており、「夜が一番安い」とは限らなくなっています。
② 昼の余剰が大きすぎて、発電を止める「出力制御」も拡大
昼の太陽光が需要を上回ると、送電網の安定のために発電を一時的に止める「出力制御」が行われます。資源エネルギー庁の資料によると、再生可能エネルギーの出力制御量は 2023年度実績で約18.8億kWh、2024年度は約21.2億kWhの見通し(短期見通し時点)とされ、年々拡大しています(数値は見通しと実績を区別しています)。
つまり「昼は電気が余り、使い切れずに捨てている」状況が生まれています。この余った昼の電気を活用してもらうために、昼間を割安にした料金メニュー が登場し始めた、という流れです。
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サッと料金を比較する旧来型の深夜割引プランは、新規受付終了が相次ぐ
「夜が安い」を前提に設計された旧来型のオール電化向けプランは、すでに新規では加入できないものが増えています。代表的な例を挙げます。
東京電力エナジーパートナー:2016年3月31日に新規受付終了
「電化上手」「深夜電力」「おトクなナイト8/10」といった旧来型の深夜割引プランは、2016年3月31日に新規申込受付を終了 しています。すでに契約している方は継続して利用できますが、新規契約や、引越しに伴う新たな契約はできません。
関西電力:現行のオール電化向けは「はぴeタイムR」を案内
関西電力でも、現行のオール電化向け時間帯別プランは「はぴeタイムR」が案内されており、旧「はぴeプラン」「はぴeタイム」からの移行先と位置づけられています(旧プランの新規受付状況の詳細は公式情報をご確認ください)。旧プランは一度変更すると元に戻せない場合があるため、既存契約者も切り替えには注意が必要です。
これらは事実として新規募集を終えただけで、既存契約者にとって不利になったわけではありません。本記事は終了したプランを現行の選択肢として推奨するものではなく、これから契約する人が選べるのは受付中の後継プラン であるという点を整理しています。今から契約する場合は、受付中のプランの中から自宅の使い方に合うものを比較するのが現実的です。
逆に「昼が割安」な時間帯プランが生まれている
旧来型が縮小する一方、昼の余剰電力を活用してもらう狙いで 昼間を割安にした「昼シフト型」 のプランが新設されています。代表例が中部電力ミライズの「昼とくプラン」です。
中部電力ミライズ「昼とくプラン」(2025年4月1日提供開始)
同プランは家庭向けに2025年4月1日から提供が始まりました。デイタイム(10時~17時)の電力量料金 を、春秋は16.42円/kWh、夏冬は18.50円/kWh と割安に設定し、ナイトタイム(夜間)は26.55円/kWh とすることで、夜や朝夕から昼間への電気の使い方のシフトを促す設計です(いずれも燃料費調整額・再エネ賦課金は別途。デイタイム以外の時間帯区分の詳細は中部電力ミライズの公式情報・約款をご確認ください)。
注目すべきは、この昼とくプランでは昼が夜より 約8~10円/kWh安い(春秋・夏冬で幅あり)という点です。従来の「夜が安い」構造とは逆転しており、エコキュートや蓄電池、電気自動車(EV)など 昼間に電気を使う・ためられる設備 がある家庭にとっては、昼に使用を寄せることで割安になり得ます。再エネ余剰電力の活用や出力制御の抑制にもつながる仕組みとして打ち出されています。
こうした昼割安型プランの背景には、昼の太陽光余剰 があります。資源エネルギー庁の資料では再エネ出力制御量が2023年度実績で約18.8億kWh(2024年度は約21.2億kWhの見通し)と拡大。JEPXスポット市場でも昼に価格が下限(0.01円/kWh)まで下がる時間帯が増えています。「昼に電気が余る」状況が、料金メニューの設計思想を変えつつあります。
ただし「夜が安い型」も現役で並存している
ここで誤解しないでほしいのは、「夜間電力はもう安くない」と一概には言えない ことです。昼が安いプランが生まれた一方で、夜間が割安な時間帯プランも引き続き提供されています。
例えば東京電力エナジーパートナーの「夜トク8」は、夜間(23時~翌7時)が31.84円/kWh、昼間が42.80円/kWh と、夜が約11円/kWh安い旧来型の構造で、現在も新規受付中です(2023年7月1日見直し後の単価・燃調・賦課金別)。帰宅が遅い、夜にまとめて家事をする、夜にお湯を沸かす給湯機があるといった 夜型の家庭 には適する傾向があります。
つまり今は「夜が安い型」と「昼が安い型」が 市場に並存 している状態です。どちらが得かは一律には決まらず、自分の在宅時間帯と設備が、どちらの時間帯に電気を寄せられるか で決まります。
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日中に在宅しているか
在宅勤務・小さな子どもがいる・日中に家事をするなど、昼間に電気を使う時間が長い家庭は「昼シフト型」と相性が良い傾向。逆に日中ほぼ不在で夜にまとめて使う家庭は「夜割引型」が合いやすい。
昼に電気を使える・ためられる設備があるか
太陽光・蓄電池・EV・昼に沸き上げできるエコキュートがあると、昼の割安な時間帯に使用や充電・蓄熱を寄せやすく、昼シフト型のメリットを引き出しやすい。設備が無い場合は無理に昼へ寄せられないことも。
今から新規契約か、既存契約の継続か
旧来型の深夜割引プランは新規受付を終了しているものが多く、これから契約する場合は受付中の後継プランから選ぶことになる。既存契約者は条件を確認のうえ継続・変更を検討(旧プランは戻せない場合がある)。
昼夜の単価差を活かせるか
夜トク8の昼夜差は約11円/kWh、昼とくプランの昼夜差は約8~10円/kWh。安い時間帯に使用をどれだけ寄せられるかで効果が変わる。寄せられる量が少ないと、時間帯別より一律単価型のほうが向く場合もある。
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よくある質問
「夜間・深夜電力は安い」というのはもう古いのですか?
オール電化の常識だった旧来型の深夜割引プランは、東京電力の「深夜電力」「電化上手」などが2016年3月31日に新規受付を終了するなど、新たに加入できないものが増えています。一方で2025年4月には中部電力ミライズが昼間(10時~17時)を割安にした「昼とくプラン」を新設しました。背景には太陽光発電の大量導入で昼の電力が余りやすくなった事情があり、「夜が安い」一辺倒だった時代から、契約や設備によっては「昼にシフトすると割安」という選択肢も生まれている、という変化です(試算条件・エリア・契約により異なります)。
なぜ昼間の電気が安くなる時間帯が生まれているのですか?
太陽光発電が全国に大量導入され、晴れた春・秋の昼間は発電が需要を上回りやすくなったためです。卸電力市場(JEPXスポット市場)では、こうした昼間に価格が下限の0.01円/kWhまで下がる時間帯(いわゆる0円コマ)が増加しています。余った再エネを使い切れずに出力制御する量も全国で拡大しており(2023年度実績で約18.8億kWh)、昼の余剰電力を活用してもらうために昼割安型の料金メニューが登場しています。
具体的に「昼が安い」プランにはどんなものがありますか?
代表例が中部電力ミライズの「昼とくプラン」(2025年4月1日提供開始)です。昼間(デイタイム10時~17時)の電力量料金が春秋16.42円/kWh・夏冬18.50円/kWh、夜間(ナイトタイム)が26.55円/kWhと、昼が夜より約8~10円/kWh安く設定されています。エコキュートや蓄電池、電気自動車(EV)など、昼間に電気を使う・ためる設備がある家庭が対象として想定されています(燃料費調整額・再エネ賦課金は別途加算。条件はエリア・設備により異なります)。
今からオール電化向けの深夜割引プランに新規加入できますか?
プランによります。東京電力の「電化上手」「深夜電力」「おトクなナイト8/10」などは2016年3月31日に新規受付を終了しており、新規には加入できません(既存契約者は継続可、ただし引越時は不可)。関西電力では現行のオール電化向け時間帯別プランとして「はぴeタイムR」が案内されており、旧「はぴeプラン」「はぴeタイム」からの移行先と位置づけられています(旧プランの新規受付状況の詳細は公式情報をご確認ください)。これから契約する場合は、現在も受付中の後継プランの中から、ご家庭の使い方に合うものを比較するのが現実的です。
夜型の生活でも、夜が安いプランは選べますか?
はい、夜間が割安な時間帯プランは現在も提供されています。例えば東京電力の「夜トク8」は夜間(23時~翌7時)が31.84円/kWh、昼間が42.80円/kWhと夜が約11円/kWh安い構造で、新規受付中です(2023年7月見直し後の単価・燃調・賦課金別)。帰宅が遅い、夜にお湯を沸かす給湯機があるといった夜型の家庭には適する傾向があります。ご自身の在宅時間帯と設備に合わせ、「夜が安い型」と「昼が安い型」のどちらが合うかで選ぶのが基本です。
昼シフト型と夜割引型、どちらを選べばよいですか?
一概にどちらが得とは言えず、在宅時間帯と設備で変わります。日中に在宅し、太陽光・蓄電池・EV・昼に沸き上げできるエコキュートがあるなら昼シフト型が合いやすく、日中不在で夜にまとめて使う・沸かすなら夜割引型が合いやすい傾向です。本記事で取り上げた両プラン(昼とくプラン・夜トク8)とも昼夜の単価差は概ね8~11円/kWh(昼とくプランは約8~10円、夜トク8は約11円)あるため、安い時間帯に使用を寄せられるかが分かれ目になります。家電公取協の目安単価31円/kWhと比べ、自宅の使用時間帯のどこに山があるかを確かめたうえで、複数プランをシミュレーションで比較するのがおすすめです(結果は条件により異なります)。
出典・参考情報
- 中部電力ミライズ プレスリリース:「昼とくプラン」の提供開始について(2025年4月1日提供開始・デイタイム10時~17時)
- 中部電力ミライズ:昼とくプラン 料金(公式)(デイタイム 春秋16.42円・夏冬18.50円/ナイトタイム26.55円・いずれも燃調賦課金別)
- 東京電力エナジーパートナー:夜トクプラン(公式)(夜トク8:夜間31.84円・昼間42.80円・2023年7月1日見直し後・燃調賦課金別)
- 東京電力エナジーパートナー:電化上手など旧プラン(選択約款・公式)(「電化上手」「深夜電力」等は2016年3月31日に新規受付終了)
- 関西電力:はぴeタイムR(公式)(現行のオール電化向け時間帯別プラン。旧「はぴeプラン」「はぴeタイム」の新規受付状況・約款の詳細は公式情報をご確認ください)
- 資源エネルギー庁:再エネ出力制御の短期見通し等について(スマートパワーグリッドWG資料)(出力制御量:2023年度実績 約18.8億kWh/2024年度見通し 約21.2億kWh)
- JEPX(日本卸電力取引所):スポット市場 取引データ(公式)(昼間に価格が下限0.01円/kWhまで下がる時間帯の増加)
- 全国家庭電気製品公正取引協議会:よくある質問(電気代計算用の目安単価)(31円/kWh、2022年7月22日改定・27→31円・主要10社平均)
※本記事の単価・割引構造はあくまで2026年6月時点で確認した各社公表値に基づく目安です。実際の電気料金は契約プランの基本料金・電力量料金単価・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金や、使用する時間帯・電力量によって変動します。各プランの新規受付の有無や単価は変更される場合があるため、契約前に必ず各社の最新の公式情報をご確認ください。本記事は特定の電力会社・プランの優劣を断定するものではありません。
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