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制度・公的データの知識

託送料金エリア差|変えても消えない電気代の正体

送配電網の利用料は小売を変えても変わらない固定費。エリア差を公的データで解説

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※本記事は2026年6月時点の情報です。掲載の託送料金平均単価は資源エネルギー庁「託送料金平均単価表(低圧従量制)」2025年10月時点の値(税込・賠償負担金/廃炉円滑化負担金/電源開発促進税相当額を含む)です。電気料金の試算には全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(2022年7月22日改定値)を用いています。

「電力会社を乗り換えたのに、思ったほど電気代が下がらなかった」――その理由のひとつが 託送料金(たくそうりょうきん) です。託送料金は、発電所から家庭まで電気を届ける 送配電網(電柱・電線・変電設備)の利用料 で、電気料金のなかに含まれて毎月の請求に乗っています。

この託送料金は、同一エリア内ではどの小売電気事業者を選んでも金額が変わらない固定費 です。さらに、低圧・従量の平均単価はエリアごとに異なり、住むエリアだけで年間の差が先に決まってしまいます。本記事では「託送料金の正体・エリア差の大きさ・年間でいくら変わるか・2026年度の制度改定・固定費でも比較する意味」を、公的データを引用しながら整理します。

結論早見表:10エリアの託送料金(低圧・従量)

まず結論です。資源エネルギー庁が公表する低圧・従量制の託送料金平均単価を、安い順に並べたものが下表です。最も安い水準の関西と最も高い水準の沖縄では、平均単価で 4.07円/kWh(低圧・従量平均単価の差) の開きがあります。

順位/エリア(一般送配電事業者)託送平均単価(円/kWh)関西比の差(円/kWh)
1. 関西電力送配電8.61基準(±0.00)
2. 北陸電力送配電9.27+0.66
3. 東京電力パワーグリッド9.44+0.83
4. 中部電力パワーグリッド10.04+1.43
5. 四国電力送配電10.14+1.53
6. 中国電力ネットワーク10.21+1.60
7. 九州電力送配電10.27+1.66
8. 北海道電力ネットワーク11.25+2.64
9. 東北電力ネットワーク11.34+2.73
10. 沖縄電力12.68+4.07

※低圧・従量制の平均単価。実際の託送料金は基本料金(円/契約・円/kW)+従量料金(円/kWh)の二部構成で、平均単価はこれを1kWhあたりに均した目安値です。小売事業者を変えても同一エリア内ではこの託送部分は変わらない固定費。出典:資源エネルギー庁「託送料金平均単価表(低圧従量制)」2025年10月時点(税込・賠償負担金/廃炉円滑化負担金/電源開発促進税相当額を含む)。

この表のポイントは、これらの単価は小売を乗り換えても変わらない という点です。エリアを管轄する一般送配電事業者は1社に固定されているため、託送部分は「どこに住んでいるか」でほぼ決まります。乗り換えで圧縮できるのは、ここに上乗せされる 小売事業者の電力量料金・基本料金(小売分) だけです。

託送料金とは?電気代に含まれる「送配電網の利用料」

① 誰が誰に払っているお金なのか

電気は、発電所でつくられたあと、送電線・変電所・配電線・電柱を通って各家庭に届きます。この送配電網を保有・運用しているのが、エリアごとの 一般送配電事業者(東京電力パワーグリッド、関西電力送配電など)です。

小売電気事業者は、契約者に電気を届けるためにこの送配電網を借りており、その対価として一般送配電事業者に 託送料金 を支払います。そして託送料金は最終的に電気料金に含められ、利用者が負担します。つまり託送料金は「電気を運ぶインフラの利用料」であり、発電・小売とは別の、送配電というレイヤーのコストです。

② なぜ小売を変えても変わらないのか

電力小売は2016年に全面自由化され、家庭でも小売事業者を自由に選べるようになりました。一方で、送配電網はインフラとしての性質上、エリアごとに 一般送配電事業者が1社に決められています

そのため、同じエリアであればどの小売事業者と契約しても、利用する送配電網は同じで、適用される託送料金の体系も同じです。これが「小売を乗り換えても託送部分は変わらない」理由です。電力会社を切り替えて下げられるのは、託送部分の上に乗る小売分にとどまります。

③ 託送料金は「二部構成」

低圧(家庭向け)の託送料金は、契約に応じてかかる 基本料金(円/契約・円/kW) と、使った電力量に応じてかかる 従量料金(円/kWh) の二部構成です。早見表に載せた「平均単価(円/kWh)」は、この二部構成をまとめて1kWhあたりに均した目安値であり、従量単価そのものではない点に注意してください。

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託送料金は電気代の何割を占めるのか

「託送料金は電気代のどれくらい?」という問いに、一律の答えはありません。使用量や契約区分によって比率が変わるためです。低圧の託送料金は基本料金+従量料金の二部構成なので、使用量が多いほど従量分の比率が高まり、託送が占める割合も変動します

一般的な解説では、託送料金は電気代の 概ね2〜4割程度 を占めるとされます(高圧では約3割と説明される例が多い一方、低圧では使用量により幅が出ます)。家電公取協が目安とする電力量料金31円/kWhと、資源エネルギー庁公表の低圧・従量平均単価8.61〜12.68円/kWhを並べてみると、託送が請求のなかで相当の存在感を持つことが見て取れます。

「約3割」という数字の扱いについて
複数の解説で「託送は電気代の約3割」と紹介されますが、これは高圧の文脈で語られる例が多く、低圧(家庭)で一律に約3割と断定はできません。実際の割合は各家庭の使用量・契約区分・小売プランの単価設定で変動します。本記事では「概ね2〜4割程度」という条件付きのレンジで捉えることをおすすめします。

住むエリアで年間いくら変わるか(試算)

託送平均単価の差は、年間の使用量に応じて金額として積み上がります。下表は、最も安い水準の関西(8.61円/kWh)と最も高い水準の沖縄(12.68円/kWh)の差4.07円/kWh(低圧・従量平均単価の差) だけを年間使用量に掛けた、エリア固定費の差の試算です。

年間使用量(目安)エリア間 年間差の試算
3,000kWh/年(月250kWh)約12,210円/年
4,400kWh/年(仮に使う場合の例)約17,908円/年
6,000kWh/年約24,420円/年

※差額は託送平均単価の単純差(4.07円/kWh)×年間使用量による試算で、エリア固有の固定費の差です。乗り換えでは圧縮できません。年間使用量は世帯人数・住居形態・季節などの条件で大きく異なるため、3,000/4,400/6,000kWhは比較しやすい想定値として置いたものです。実際の請求額には燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金など他の要素も別途加わるため、電気代総額がこの額だけ違うことを示すものではありません。

たとえば仮に年間4,400kWh使う世帯なら、関西と沖縄でおよそ 1万8千円/年 の差(試算条件下では)が、住んでいるエリアだけで先に決まることになります(使用量は世帯条件で大きく異なります)。これは小売の選び方の前段で発生する差であり、乗り換えで取り戻せる性質のものではありません。だからこそ、自分のエリアの託送水準を前提として把握しておくことに意味があります。

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2026年度の制度改定:託送料金は上昇圧力がかかる

託送料金は、レベニューキャップ制度 という仕組みのもとで決まります。これは2023年度に導入された制度で、一般送配電事業者の収入上限(レベニューキャップ)を国が審査・承認し、5年ごとの規制期間で管理するものです。現在の第1規制期間は 2023〜2027年度 です。

導入当初の設計では、規制期間の途中で起きた物価変動を反映しづらい仕組みでした。しかし資材費・労務費の上昇を背景に、2026年度から物価上昇分を期中で反映できるよう制度見直し が進められています。内閣府の消費者委員会公共料金等専門調査会や送配電網協議会などで議論されてきた論点です。

「2026年度に必ず値上げ」ではない点に注意
この制度改定は「物価上昇分を期中で反映できるようにする」という仕組みの見直しであり、具体的な改定の時期や値上げ幅が確定したものではありません。改定は各一般送配電事業者の申請と国の審査を経て決まります。今後、託送料金には上昇圧力がかかる見通しという制度面の事実として捉えるのが適切です。

固定費でも「比較する意味」がある理由

「託送料金が変えられない固定費なら、電力会社を比較しても無駄では?」と感じるかもしれません。しかし結論は逆です。託送という変えられない部分を理解しておくほど、変えられる部分=小売の電力量料金・基本料金を比較する意味が大きくなります。

電気料金は大きく「託送(送配電)+小売(電力量料金・基本料金)+その他(燃料費調整額・再エネ賦課金など)」で構成されます。このうちエリアで先に決まる託送部分を前提として切り分けたうえで、残る小売部分でどれだけ差が出るかを見るのが合理的な比較の順序です。

電気代を見直すときの4つのチェックポイント

1

自分のエリアの託送水準を把握する

関西8.61円〜沖縄12.68円/kWh(低圧・従量平均単価/2025年10月時点)と、エリアで前提が異なる。まず自分の住むエリアがどの水準かを早見表で確認し、電気代の土台を理解しておく。

2

託送部分は乗り換えで動かないと理解する

同一エリア内では一般送配電事業者が1社に固定されており、託送料金は小売を変えても変わらない。乗り換えで圧縮できるのは小売の電力量料金・基本料金(小売分)だけ、と割り切る。

3

比較は『小売部分』で行う

電気料金は託送+小売+その他で構成される。変えられない託送を前提に切り分け、変えられる小売部分でどれだけ差が出るかを、約款ベースで横断比較すると判断しやすい。

4

2026年度の制度改定で上昇圧力を見込む

レベニューキャップ制度の見直しで、2026年度から物価上昇分を期中反映できるよう議論が進む。具体的な時期・幅は未確定だが、託送料金に上昇圧力がかかる前提で家計を見ておく。

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よくある質問

託送料金とは何ですか?電力会社を変えると安くなりますか?

託送料金は、発電所から家庭まで電気を届ける送配電網(電柱・電線・変電設備)の利用料です。小売電気事業者が地域の一般送配電事業者に支払い、最終的に電気料金に含めて利用者が負担します。同一エリア内では一般送配電事業者が1社に決まっているため、どの小売を選んでも託送部分の単価は変わりません。乗り換えで圧縮できるのは小売事業者が設定する部分(電力量料金や基本料金の小売分)だけで、託送料金そのものは原則として変わらない固定費です。

託送料金は電気代の何割くらいを占めますか?

使用量や契約区分によって変わるため一律ではありませんが、概ね2〜4割程度を占めるとされます。低圧(家庭向け)の託送料金は基本料金(円/契約・円/kW)と従量料金(円/kWh)の二部構成で、使用量が多いほど従量分の比率が高まります。資源エネルギー庁公表の低圧・従量平均単価は8.61〜12.68円/kWh(2025年10月時点)で、家電公取協目安の電力量料金31円/kWhなどと比べると、相当部分を託送が占めることがわかります。具体的な割合は各家庭の使用量で変動するため、断定はできません。

託送料金が一番安いエリアと高いエリアはどこですか?

資源エネルギー庁の「託送料金平均単価表(低圧従量制)」2025年10月時点では、最も安い水準は関西電力送配電エリアの8.61円/kWh、最も高い水準は沖縄電力エリアの12.68円/kWhで、その差は4.07円/kWhです。沖縄に次いで東北11.34円/kWh、北海道11.25円/kWhが高く、安い側は関西、北陸9.27円/kWh、東京9.44円/kWhと続きます(いずれも低圧・従量・税込)。エリアによる差は送配電網の維持コストや需要密度の違いなどによるものです。

住むエリアが違うだけで電気代はどのくらい変わりますか?

託送平均単価の差(最も安い水準の関西8.61円/kWh と最も高い水準の沖縄12.68円/kWh の差4.07円/kWh)だけで試算すると、年間3,000kWh(月250kWh)使用で約12,210円/年、年間4,400kWh程度で約17,908円/年の差になります。これは送配電網利用料というエリア固有の固定費の差で、住むエリアだけで先に決まり、小売の乗り換えでは圧縮できません。ただしこれは託送平均単価の単純差による試算で、実際の請求額には燃料費調整額や再エネ賦課金など他の要素も含まれます。

託送料金は今後値上がりしますか?2026年度の制度改定とは?

託送料金は「レベニューキャップ制度」(2023年度導入、第1規制期間は2023〜2027年度)のもとで5年ごとに国が審査・承認する仕組みです。当初は期中の物価変動を反映できない設計でしたが、資材費・労務費の上昇を背景に、2026年度から物価上昇分を期中で反映できるよう制度見直しが進められています(内閣府消費者委員会・送配電網協議会で議論)。今後、託送料金には上昇圧力がかかる見通しですが、改定の具体的な時期や幅は各社の申請・国の審査によります。

託送料金は固定費なら比較しても意味がないのですか?

託送料金そのものは同一エリア内では変えられない固定費ですが、だからこそ「変えられる部分=小売の電力量料金や基本料金」を比較する意味が大きくなります。電気代のうちエリアで先に決まる託送部分を理解したうえで、残りの小売部分でどれだけ差が出るかを見るのが合理的です。エネジェントは主要49社370プランを電気需給約款ベースで横断比較し、小売部分の差を試算条件下で可視化する100%ユーザー側エージェントです。

出典・参考情報

※本記事の年間差・割合などの数値は、公表されている平均単価をもとにした目安・試算です。掲載の託送料金平均単価は低圧・従量制の平均単価であり、実際の託送料金は基本料金(円/契約・円/kW)+従量料金(円/kWh)の二部構成です。実際の電気代総額は契約プランの単価・使用量・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金で変動します。エリア間の年間差はエリア固定費の差であり、小売の乗り換えで圧縮できるものではありません。

✓ この記事の検証プロセス

  • 電力会社の公式約款・料金表PDFを一次情報として参照 (二次情報は使用しません)
  • 49社・370プラン をDBに構造化済。単価・燃調・解約金等を計算エンジンで再現
  • 1社1ファイルの「ファクトカード」でデータベース値・公式値・記事値の3点突合を実施
  • 記事公開前に料金・約款条件のハードコード値を機械的に検査(自動lint)して数値乖離を防止
  • 検証手順の詳細は 計算ロジック / 執筆チーム で公開
最終更新: 2026年6月13日

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