台風や地震で停電が続いたとき、「電気が来ていないのに電気代はかかるのか」という疑問が出てきます。結論は、かかる部分と、かからない部分に分かれます。
電気料金は大きく「基本料金」と「電力量料金」に分かれています。 このうち使った分だけかかる電力量料金は、使わなければ発生しません。 一方で基本料金は、契約を維持するための固定費なので停電中もそのままかかります。 停電は「契約が止まった状態」ではなく「電気が届いていない状態」だからです。
先に結論
・電力量料金 → 使っていない分はかからない
・基本料金 → 原則かかる(自動では減らない)
・ただし「全く使わなかった月は半額」の規定を持つ会社がある
・災害で被災した場合は、申し出れば別途の特別措置を受けられることがある
電気料金のどの部分が止まるのか
検針票や請求内訳を見ると、電気料金は次の要素で構成されています。 停電中に「止まる」のはこのうち一部だけです。
一般的な従量電灯タイプの構成。プランによって名称・構成は異なります。市場価格に連動するプランでは電力量料金の決まり方が変わります。
検針票に「基本料金」の欄がない契約もあります。関西電力の従量電灯Aなど、一部の契約は「基本料金」ではなく最低料金という仕組みになっています。 最低料金制は、一定の使用量までを定額でまとめる方式で、 契約アンペア数に応じて金額が決まる基本料金とは決め方が異なります。 ただし使用量が少なくても固定的にかかるという性質は同じです。 検針票に基本料金の記載がない場合は「最低料金」の欄を確認してください。
つまり停電が長引いた月の請求は、普段より少なくなることが多いものの、 それは「電気を使わなかったから減った」のであって、 停電したこと自体への補償や割引ではありません。 基本料金は残るため、使用量が少ない月ほど請求額に占める固定費の割合が大きくなります。
「全く使わなかった月は半額」の規定がある会社
基本料金は原則かかりますが、電気をまったく使わなかった月について基本料金を半額にするという規定を設けている会社があります。当サイトで各社の料金表・約款を確認したところ、 次のような例がありました。
当サイトが各社の公式料金表・約款を確認した内容(2026年5月〜7月に取得)。全社共通の規定ではありません。最新の条件は各社の公式サイトでご確認ください。
「まったく使わなかった」の判定は厳格です。この規定は使用量が0kWhの月に適用されるものです。 避難していても冷蔵庫を動かしていた、一時帰宅して数時間使った、といった場合は 使用量が0にならないため対象外になる可能性があります。 自分の月がどう扱われるかは、検針票の使用量と契約先の規定で確認してください。
基本料金0円のプランはどのくらいあるのか
そもそも基本料金が0円のプランなら、使わなかった月の固定費は発生しません。 当サイトのデータベースで全10エリアの受付中プランを集計したところ、約4分の1が基本料金0円、または基本料金の設定がないプランでした。 エリアによって差はありますが、どのエリアでも選択肢として存在します。
ただし「停電時に有利」で選ぶ話ではありません
ここは誤解されやすいところです。基本料金0円のプランは、 その分が電力量料金の単価に乗っていることが多いか、 あるいは市場価格に連動する仕組みになっていることがあります。 停電した月だけを見れば固定費ゼロは有利ですが、 停電しない月がほとんどである以上、普段の使用量で比べてどうかが判断の軸になります。
基本料金0円=安いプランではない
固定費がない代わりに電力量料金が高めに設定されているプランもあります。年間の総額で比べないと判断できません。
市場連動型は料金の変動幅が大きい
基本料金0円のプランには、卸電力市場の価格に応じて料金が変わる仕組みのものが含まれます。市場価格が高い時期は請求額が大きく動くことがあります。
災害への備えとして乗り換える判断にはなりにくい
停電で得られる差額は、その月の基本料金の分だけです。年間の電気代の差の方が大きくなることが多いため、通常の使い方での比較を優先してください。
基本料金0円プランは本当に得?よくある落とし穴3つ →
平常時の使い方で基本料金0円プランが得になる条件・ならない条件を、単価の考え方から整理しています。
災害で被災した場合は別の制度があります
ここまでは平常時の約款の話です。 これとは別に、災害救助法が適用された地域で被災した場合は、 電気料金の特別措置が用意されることがあります。 支払期日の延長や、電気をまったく使わなかった期間の料金免除などで、 内容は会社ごとに異なります。
重要なのは自動では適用されない点です。 契約先への申し出と、原則としてり災証明書の提出が必要になります。 制度の仕組み・対象地域・申し込み手順は、 災害で被災したときの電気料金はどうなる? で、公式発表をもとに整理しています。
避難などで長期間家を空ける場合の契約の扱い(そのままにする・一時中止する・解約する)や、 戻ったときの再開手続きについては、 災害で自宅を離れるとき・戻るときの電気の手続き で整理しています。
自分の契約がどうなるかを確認する手順
契約先の規定は会社・プランごとに違うため、次の順で確認するのが確実です。
検針票かマイページで基本料金の額を見る
請求内訳に「基本料金」または「最低料金」としていくら載っているかを確認します。ここが停電中も残る固定費です。関西電力エリアなどでは「最低料金」という形になっている場合があります。
料金表・約款で「使用量が0の場合」の記載を探す
公式サイトの料金表や供給条件の説明に、使用量0kWhの月の扱いが書かれていることがあります。半額規定があればここに記載されています。
被災している場合は特別措置の有無を問い合わせる
災害救助法が適用された地域で被災した場合は、契約先に特別措置の適用を申し出ます。新電力の場合は九州電力などの旧一般電気事業者ではなく、契約している小売電気事業者が窓口です。
なお、停電そのものの復旧見込みや停電情報は、 契約している小売電気事業者ではなくその地域の送配電事業者が提供しています。 料金の相談は小売、停電情報は送配電、と窓口が分かれている点に注意してください。
よくある質問
停電しているあいだの電気代はかかりますか?
電気の使用量に応じてかかる「電力量料金」は、電気が来ていない間は使用量が増えないため発生しません。一方で「基本料金」は、契約を維持するための固定費なので原則そのままかかります。停電は契約が止まっている状態ではなく、電気が届いていない状態のため、自動的に基本料金が減額されるわけではありません。
電気を全く使わなかった月も基本料金を払うのですか?
原則として支払う必要があります。ただし「電気を全く使用しなかった月は基本料金を半額にする」という規定を設けている会社もあります。ただし、この規定はプランごとに設定されています。当サイトで約款・料金表を確認したところ、関西電力の従量電灯B、つばさでんきの従量電灯Bスタンダードプラン、イデックスでんきのベーシックプラン・マーケットプランにこの規定がありました。一方、関西電力の従量電灯Aのように最低料金制のプランは、そもそも基本料金という区分がないため半額規定の対象になりません。全社共通のルールではないため、自分の契約先の約款や料金表で確認してください。
基本料金が0円のプランなら停電中の負担はゼロになりますか?
そのプランに限れば、使わなかった月の固定費は発生しません。当サイトのデータベースで全10エリアの受付中プランを集計したところ、約4分の1が基本料金0円または基本料金の設定がないプランでした。ただし基本料金0円のプランは電力量料金の単価が高めに設定されていたり、市場価格に連動する仕組みだったりすることがあり、停電時に有利だからといって普段の電気代が安くなるとは限りません。判断は通常の使用量で比較して行ってください。
災害で被災した場合は減額してもらえますか?
災害救助法が適用された地域で被災した場合は、電気料金の特別措置を受けられる場合があります。内容は支払期日の延長や、電気を全く使わなかった期間の料金免除などで、会社によって異なります。ただし自動では適用されず、契約先への申し出と、原則としてり災証明書の提出が必要です。詳しくは災害時の特別措置について解説した記事をご覧ください。
停電中に停止した家電の分だけ電気代は下がりますか?
電力量料金は実際に使った電力量(kWh)に対してかかるため、停電で家電が動かなかった分はそのまま請求されません。検針票やマイページで使用量を見ると、停電があった月は普段より少なくなっていることが多いはずです。一方で基本料金は使用量とは関係なくかかるため、「使用量が少ない月ほど請求額に占める基本料金の割合が大きくなる」という形になります。
長期間家を空けるときは契約を止めた方がよいですか?
空ける期間と基本料金の額によります。基本料金は契約しているアンペア数(またはkW)で決まるため、長期間まったく使わないなら、契約を続けたままブレーカーを切っておく、あるいは解約するという判断があります。なお「契約を一時的に止める」手続きは、すべての会社に用意されているわけではありません。解約すると再開時は再契約になり、避難などで一時的に離れる場合は復旧後すぐ電気を使いたいことが多い点も考慮が必要です。手続きの流れは避難時の電気の手続きを解説した記事で整理しています。
この記事の基本料金0円系プランの件数は、当サイトが各社の公式料金表をもとに 整備しているデータベースを2026年7月30日時点で集計したものです。 プランの改定・新設により数は変わります。 各社の規定は変更される場合があるため、実際のご契約・お手続きの際は 契約先の公式サイトで最新の内容をご確認ください。
出典・参考
- 関西電力「電気料金単価表」 — 従量電灯Aの最低料金制/基本料金制プランの0kWh時半額注記
- 資源エネルギー庁「電気料金の仕組み」 — 基本料金・電力量料金の構成
- 当サイト「災害で被災したときの電気料金はどうなる?支払期日の延長・免除の仕組み」 — 災害救助法適用時の特別措置(九州電力・エナリスの一次ソース突合済)
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