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家電と電気代の知識

温め直しは電子レンジとコンロ、どっちが得?

量で変わる分岐点を、公的データと早見表で徹底比較

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※本記事は2026年6月時点の情報です。電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(2022年7月22日改定値)、都市ガスは実効約170円/m³(東京ガス標準家庭・2026年2月)、LPガスは実効約920円/m³(全国平均・2025年6月 石油情報センター)で試算しています。実効単価は基本料金込みの概算で地域差が大きい点にご注意ください。

「ごはんやおかずを温め直すとき、電子レンジとコンロ(ガス)のどちらが得なのか」――なんとなく「ガスの方が安い」「電気は高い」というイメージで選んでいる方は多いはずです。残り物の温め直しは毎日のことなので、積み重なると地味に効いてきます。

しかし結論は、直感に反するものでした。少量の温め直しは、電子レンジの方が効率的な傾向です。その一方で、量が増えると話が変わり、コンロが実用的になる分岐点があります。本記事では「量別のコスト・なぜレンジが有利になるのか・都市ガスとLPガスの差・実用性での使い分け」を、公的データを引用しながら整理します。

結論早見表:温め直し1回あたりの目安コスト

温め直す「量」ごとに、1回あたりの目安コストを試算しました。電気31円/kWh、コンロは中火(約2kW相当)で、都市ガス実効170円/m³・LPガス実効920円/m³として計算しています。

温め直す量電子レンジ(600W)コンロ(都市ガス)コンロ(LPガス)
ごはん1膳/おかず1人前(約150g)約0.5円約1.4円約3.3円
汁物・味噌汁1杯(約200g)約0.5円約1.6円約3.9円
カレー・煮物2人前(約400g)約0.9円約2.3円約5.6円
鍋ごと汁物(約1.5L)約4.0円約5.4円約13.4円
おでん・大量(約2.5L)約6.8円約7.3円約17.8円

※電気31円/kWh、都市ガス実効170円/m³(45MJ/m³)、LP実効920円/m³(99MJ/m³)、コンロ中火≒2kW相当(7.2MJ/h)の強めの火力前提で試算した目安。各セルの所要時間は温度上昇+50℃に必要な有効熱量(質量×比熱)をレンジ加熱効率約55%・コンロ熱効率約45〜56%で割り戻して算出し、レンジ時間は全行で同一基準(約7.5分/kg)に揃えています。実効単価は基本料金込みの概算で地域差が大きく、機種・火力・容器・効率の前提でも変動します。火力を弱める(熱量を下げる)とコンロの1分あたりコストが下がり、長時間・大量側でレンジと逆転する場合があります。

ポイントは2つです。1つは、少量はレンジが安いが、量が増えると金額面でもコンロが拮抗してくるという点。本記事の火力前提(コンロ中火≒2kW相当・電気31円/kWh)では大量域でも僅差でレンジが下回りますが、これは採用した火力・加熱効率に依存し、火力を弱め(熱量を低く)に置く北海道ガスの試算例では1分あたりコストがコンロ中火の方が安くなり、長時間・大量側でコストが逆転します。つまりコストの優劣は前提しだいで変わり、レンジが万能に安いわけではありません。もう1つは、鍋ごと・大量の煮込み直しではコンロが実用的になる点で、これは金額ではなく「加熱ムラ・容器の制約・とろみや煮詰めの仕上がり」という実用性の問題です。コストと実用性は分けて考えるのが正解です。

用途別の向き不向き(コストと実用性で判定)

金額だけでなく「均一に温まるか」「とろみを足せるか」といった実用性も含めて、用途別の向き不向きを整理すると次のようになります。

用途電子レンジコンロ(都市ガス)コンロ(LPガス)
1人前の温め直し◎(速い・安い)
汁物1杯×(割高)
鍋ごと大量・煮込み直し△(ムラ・時間)
全体を均一に・とろみを足す

※◎=最も向く / ○=向く / △=使えるが非効率 / ×=割高。コスト面と実用性(加熱ムラ・容器・とろみ)の両面で総合判定した目安です。

少量・汁物1杯はレンジが速くて安く、大量・煮込み直しは金額面でもコンロが拮抗してくるうえ、加熱ムラ・容器・とろみといった実用性でコンロが向く――という棲み分けが見えてきます(鍋ごと大量でレンジを△としたのは、コスト逆転ではなく実用性とコスト拮抗の両面からの判定です)。

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なぜ「電気は高い」のに電子レンジが有利なのか

1ジュール(エネルギーの単位)あたりの料金だけを比べると、実はガスの方が割安です。それでも温め直しでレンジが有利になりやすいのは、料金単価ではなく「エネルギーの届け方」に理由があります。

① 電子レンジは食品に直接エネルギーを与える

電子レンジはマイクロ波で食品中の水分を直接振動させて発熱させます。鍋や周囲の空気を温める無駄が少なく、予熱もかき混ぜも要りません。食品にエネルギーが集中するため、少量なら短時間で済みます。

壁コンセントから食品に届くまでの加熱効率は、家庭用では概ね50〜60%程度とされます(機種・規模で38〜60%と幅があり、一意の公的値はありません)。それでも「温めたい食品そのもの」に熱が向かう構造が、少量の温め直しでは効いてきます。

② コンロは鍋と周囲の空気まで温める

ガスコンロは炎で鍋底を加熱しますが、炎の熱の一部は鍋の側面や周囲の空気に逃げます。資源エネルギー庁の省エネ性能カタログによれば、最新のビルトインコンロの熱効率は約56%程度とされますが、汁物のように容器ごと温める場面では放熱の損失がさらに大きくなり、実効はこれより下がります。

加えて、コンロは点火してから温まるまでの予熱や、焦げ付かないようかき混ぜる時間も必要です。少量でも一定の時間がかかるため、「無駄なく早く終わる」電子レンジが相対的に有利になります。レンジが安いのは「単価」ではなく、この「機序」の差です。

公的データのアンカー(家庭の省エネ大事典)
資源エネルギー庁『家庭の省エネ大事典』では、ほうれん草100gの下ごしらえについて、鍋でゆでる場合の年間ガス代1,150円(1回あたり約3.2円)に対し、電子レンジで加熱する場合の年間電気代は290円(1回あたり約0.8円)と、約4分の1の光熱費と紹介されています。所要時間も、鍋ゆでは水を沸かす時間を含め計約6分に対し、電子レンジは約1分半でした。ただしこれは大量の湯を沸かして捨てる「ゆで」の下ごしらえで電子レンジが有利になる公的例であり、すでに汁気のある料理を「温め直す」場面そのものの代表値ではありません。少量の温め直しでレンジが効率的な傾向を裏付ける参考として捉えてください(本記事の早見表は1人前レンジ約0.5円 vs 都市ガスコンロ約1.4円)。

都市ガスとLPガスでコンロのコストは大きく変わる

早見表を見ると、同じコンロでも都市ガスとLPガス(プロパン)でコストが2〜2.5倍ほど違うことが分かります。これはガスの「実効単価」の差によるものです。

ガス種別標準熱量実効単価(目安)おかず1人前の温め直し
都市ガス(13A)45MJ/m³約170円/m³約1.4円
LPガス(プロパン)約99MJ/m³約920円/m³約3.3円

※実効単価は基本料金込みの概算。都市ガスは東京ガス標準家庭30m³で約5,138円(2026年2月)、LPガスは月10m³で全国平均9,207円(2025年6月 石油情報センター)から算出。LPは地域差が大きく、北海道など高い地域もあります。

LPガスは1m³あたりの熱量こそ都市ガスの約2倍(99MJ/m³ 対 45MJ/m³、いずれも0℃・101.325kPa基準)ありますが、実効単価が高く地域差も大きいため、同じ火力でもコストは都市ガスより高くなります。LPガス家庭では、少量の温め直しを電子レンジに寄せる節約効果が特に大きい傾向です。お住まいのガスが都市ガスかLPガスかは、検針票や契約書で確認できます(「13A」「12A」なら都市ガス、「LPガス」「プロパン」ならLPガス)。

量が増えると「コスト」より「実用性」でコンロが活きる

早見表のとおり、量が増えるとコストの優劣は機種・火力・効率しだいで拮抗してきます(本記事の火力前提では大量域でも僅差でレンジ、火力を弱めればコンロが逆転し得ます)。それ以上に鍋ごとの汁物やおでんのような大量・煮込み直しでコンロが実用的になるのは、金額ではなく次のような実用性の理由からです。

① 加熱ムラが出にくい

電子レンジは量が多いと中心まで熱が届きにくく、外側が熱いのに中が冷たい「加熱ムラ」が出ます。途中でかき混ぜる手間も増え、トータルの時間もかさみます。コンロなら鍋全体を対流で均一に温められます。

② 容器の制約がない

電子レンジは大きな鍋がそのまま入らない、金属鍋は使えない、といった容器の制約があります。鍋ごと温め直したい大量の汁物・煮物は、コンロにそのまま載せられる方が手間がかかりません。

③ とろみ・煮詰めなど「調理」を兼ねられる

しっかり沸かす、とろみを足す、煮詰めて味を整えるといった温め直しを超えた調理は、火加減を細かく調整できるコンロが向きます。「温めるだけ」か「仕上げまでやるか」で選ぶと失敗が少なくなります。

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IHコンロと比べるとどうか(両論併記)

「電気で加熱するならIHコンロはどうか」という疑問もよくあります。IHは鍋底に直接磁力で発熱させるため、鍋底基準の熱効率は約90%と高く、湯沸かしのように水を多く扱う調理に強みがあります。

ただし注意点があります。日本家政学会の研究発表では、発電ロスまで含めた一次エネルギー換算の効率はガスコンロ50.0%・IH27.7%という結果もあり、電気の作り方まで遡るとIHが無条件に効率的とは言えません。鍋底基準の熱効率(約90%)と一次エネルギー換算(27.7%)は前提が違う数字なので、混同しないことが大切です。少量の温め直しに限れば、食品へ直接エネルギーを与える電子レンジが時間・光熱費の面で効率的な傾向です。

「N倍」表現の前提について
本記事で「LPは都市ガスの約2倍の熱量」とした場合の倍率は、いずれも0℃・101.325kPa基準の標準熱量(LP約99MJ/m³・都市ガス13A 45MJ/m³)を比べたものです。一方で「コストが2〜2.5倍」は実効単価(基本料金込み)の差を比べたもので、基準が異なります。倍率は何を基準にした数字かで意味が変わるため、単価・熱量・コストを分けて捉えてください。

失敗しない使い分けの4つのチェック

1

量は1〜2人前か、鍋ごと大量か

ごはん1膳・おかず1人前・汁物1杯といった少量は電子レンジが効率的な傾向。鍋ごとの汁物やおでんなど大量は、加熱ムラ・容器の制約からコンロが実用的。まず『量』で大きく分ける。

2

温めるだけか、仕上げまでやるか

ただ温めるだけならレンジで十分。しっかり沸かす・とろみを足す・煮詰めるなど調理を兼ねるならコンロ。目的が『温め』か『調理』かで選ぶと失敗しない。

3

自宅のガスは都市ガスかLPガスか

LPガス家庭はコンロのコストが都市ガスの2〜2.5倍程度になりやすい。検針票で『13A/12A』なら都市ガス、『LPガス/プロパン』ならLP。LP家庭は少量をレンジに寄せる節約効果が大きい。

4

1回の差は数円、効くのは積み重ね

1回あたりの差は数円規模。だが温め直しは毎日のことなので、少量はレンジ・大量はコンロと無理なく使い分けると、年間では地味に効いてくる。

電力プラン視点:家全体で見ると差は大きくなる

電子レンジ単体の温め直しコストは1回数円・月数百円程度のため、これだけを理由に電力プランを切り替える効果は限定的です。

ただし、家電を多用する世帯やエアコン使用量が多い世帯では、家全体の月間使用量が膨らみ、プラン見直しで年1万〜数万円の差が生まれることもあります。電子レンジ単体の電気代インパクトと、総使用量からプランを見直す考え方は、電子レンジの電気代とプラン見直しの記事で詳しく解説しています。本記事はあくまで「レンジ vs コンロ(ガス)の量別コスト比較」に絞り、プラン見直しの詳細はそちらに譲ります。まずは請求書で自宅の月間使用量(kWh)を把握するのが第一歩です。

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よくある質問

温め直しは電子レンジとコンロ、結局どっちが安いですか?

少量の温め直し(1人前・汁物1杯など)は電子レンジが効率的な傾向です。資源エネルギー庁『家庭の省エネ大事典』でも、ほうれん草100gの下ごしらえは鍋ゆで1回約3.2円に対し電子レンジ約0.8円と、約4分の1の光熱費です。電子レンジは食品に直接エネルギーを与え、鍋や周囲の空気を温める無駄や予熱時間がないためです。電気31円/kWh・都市ガス実効170円/m³で試算した本記事の早見表でも、1人前の温め直しはレンジ約0.5円、都市ガスコンロ約1.4円でした(試算条件下での目安)。

電気は高いはずなのに、なぜ電子レンジの方が安くなるのですか?

1ジュールあたりの料金だけ見るとガス(都市ガスで45MJ/m³・実効約170円/m³)の方が電気(31円/kWh)より割安です。それでも温め直しでレンジが有利になりやすいのは、コンロは鍋全体と周囲の空気まで温め、予熱やかき混ぜの時間もかかるのに対し、電子レンジは食品の水分に直接働きかけて短時間で済み、待機・放熱の損失がほぼないためです。つまり『単価』ではなく『無駄なく早く終わる』ことが効いています。

コンロ(ガス)の方が得になるのはどんなときですか?

鍋ごとの汁物・カレー・おでんなど量が多い温め直し、しっかり沸かす・とろみを足す・煮詰めるといった調理を兼ねる場合は、コンロが実用的です。電子レンジは大量だと加熱ムラが出て時間もかかり、入る容器にも制約があります。本記事の火力前提では少量はレンジが安いものの、量が増えるとコスト差は縮小し、大量域では都市ガスコンロとほぼ拮抗します。コストの優劣は採用する火力・加熱効率の前提しだいで変わるため、金額だけで断定せず、均一に温める実用性や仕上がりも含めて量と目的で使い分けるのがおすすめです。

都市ガスとプロパンガス(LPガス)でコンロのコストは変わりますか?

変わります。都市ガスの実効単価は約170円/m³(東京ガス標準家庭30m³で約5,138円・2026年2月)ですが、LPガスは月10m³で全国平均9,207円(約920円/m³・2025年6月 石油情報センター)と地域差も大きく割高です。本記事の試算では同じ温め直しでも、コンロのコストはLPガスが都市ガスの2〜2.5倍程度になりました。LPガス家庭では、少量の温め直しを電子レンジに寄せる節約効果が特に大きい傾向です。

IHコンロと電子レンジではどちらが効率的ですか?

用途次第です。IHは鍋底に直接磁力で発熱させるため熱効率は約90%と高く、湯沸かしなど水を多く扱う調理に強みがあります。一方で日本家政学会の研究では、発電ロスまで含めた一次エネルギー換算ではガス50.0%に対しIH27.7%という結果もあり、電気の作り方まで遡ると一概にIHが有利とは言えません。少量の温め直しに限れば、食品へ直接エネルギーを与える電子レンジが時間・光熱費の面で効率的な傾向です。

電子レンジの方が安いとして、どのくらい差が出ますか?

公的データでは、ほうれん草100gの下ごしらえで鍋ゆで年間1,150円に対し電子レンジ290円(資源エネルギー庁『家庭の省エネ大事典』)と約4倍の差です。本記事の試算(電気31円/kWh・都市ガス実効170円/m³)でも、1人前の温め直し1回でレンジ約0.5円・都市ガスコンロ約1.4円と差が出ました。ただし1回あたりは数円規模なので、効果は『毎日の積み重ね』で出ます。料金単価や機種・量で変わるため、あくまで試算条件下での目安です。

出典・参考情報

※本記事のコスト試算はあくまで目安です。電気・ガスの実効単価は契約事業者・地域・基本料金・燃料費調整額で大きく変動します。電子レンジ・コンロの加熱効率は機種・火力・容器・食品の量で変わるため、断定的な金額差ではなく傾向としてご活用ください。特定メーカー・特定機種の優劣を示すものではありません。

✓ この記事の検証プロセス

  • 電力会社の公式約款・料金表PDFを一次情報として参照 (二次情報は使用しません)
  • 49社・370プラン をDBに構造化済。単価・燃調・解約金等を計算エンジンで再現
  • 1社1ファイルの「ファクトカード」でデータベース値・公式値・記事値の3点突合を実施
  • 記事公開前に料金・約款条件のハードコード値を機械的に検査(自動lint)して数値乖離を防止
  • 検証手順の詳細は 計算ロジック / 執筆チーム で公開
最終更新: 2026年6月13日

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